からころ×e健康ショップ 連載企画!
2022年9月20日
健康レッスン1・2・3!
【第17回】認知機能を改善する作用もある!ビフィズス菌のススメ
ヨーグルトでおなじみのビフィズス菌。お腹の調子を整える機能はよく知られていますが、最近、脳との関係の研究が進み、ある特定のビフィズス菌に認知機能改善の可能性があることがわかってきました。
あらためてビフィズス菌の働きについて教えてもらいました。
ビフィズス菌は善玉菌の代表格
ビフィズス菌は腸の調子を整え、便通をスムーズにする働きで知られています。
人の大腸には数百種類、約40兆個の菌が生息していて、「腸内フローラ」と呼ばれる集団を形成しています。腸を良好な状態に保つ菌は「善玉菌」と呼ばれていますが、善玉菌の代表であるビフィズス菌と乳酸菌の割合は、99.9%がビフィズス菌で、0.1%が乳酸菌です(※1)。
ビフィズス菌と乳酸菌は、同じような菌と思われがちですが、じつはこのふたつ、まったく別の菌です。分類学的にいうと、人とナマコくらい違う生き物なのです。
糖を分解する際に、乳酸をたくさんつくり出すのが乳酸菌です。一方、ビフィズス菌も乳酸をつくりますが、乳酸よりも酢酸(短鎖脂肪酸)をたくさんつくるのが特徴です。
酢酸には、さまざまな働きがあります。(1)悪玉菌の働きと増殖を抑える。(2)腸管のバリア機能を高め、病原菌体の侵入を防ぐ。(3)大腸の動きを活発にして便通をスムーズにする。(4)免疫機能をコントロールする。(5)血糖値をコントロールする。(6)脂肪の蓄積を抑え、太りにくい体質にする……などです。
ビフィズス菌と乳酸菌の違い
脳と腸は自律神経で結ばれている!
腸は「第二の脳」と呼ばれています。脳からの指令がなくても、腸は自律的に消化活動を行なうことができるのです。
さらに、脳と腸は自律神経やホルモンを介して密接につながっていることがわかってきました。これを「脳腸相関」といいます。
たとえば、緊張するとお腹が痛くなることがあります。逆に、お腹の調子が悪くなると不安やストレスを感じたりします。これらは脳と腸が密接に連携している証拠です。
つまり、大腸が健康なら脳も健康に機能していると考えられるわけです。
認知機能を改善するビフィズス菌がある
脳腸相関についての研究の中で、近年、とくに注目されているのが認知機能の改善作用です。
ビフィズス菌には100種類以上の種類があります。50年以上、ビフィズス菌の研究を続けている森永乳業は、多くのビフィズス菌の中から「MCC1274」に認知機能を改善する作用があることを発見しました。
認知症一歩手前の段階である軽度認知障害(MCI)が疑われる人を対象に臨床試験を行なったところ、プラセボ(偽薬)を飲んだグループと比較して、MCC1274を飲んだグループに記憶力と空間認識力の改善が見られたのです。
認知機能の低下は早い段階で発見・対策すれば、進行を遅らせたり、改善する可能性もあるといわれています。早めの対処が何より大事なのです。
認知機能を維持・改善する手段として、食品やサプリメントに大きな期待が寄せられています。そのなかで、MCC1274の認知機能改善作用は、世界的にも注目されています。
ビフィズス菌MCC1274が認知機能を改善するメカニズム
「ビフィズス菌入り」を毎日少しずつ
乳酸菌はすべてのヨーグルトに入っていますが、ビフィズス菌が入っているのはパッケージに「ビフィズス菌」と明記されている商品だけです。
ビフィズス菌入りヨーグルトにも多くの種類がありますので、いろいろなものを試して、ご自分に合ったものを見つけてください。自分の生活時間に合わせて、少量でもいいので、毎日食べることをおすすめします。
ビフィズス菌は赤ちゃんのときから腸の中に棲んでいる菌ですが、年齢とともに減少していきます。ヨーグルトやサプリメントなどで積極的に補給することで、腸内フローラを良い状態に保つことができます。
ビフィズス菌を毎日摂取して、健やかな腸と脳を保ちましょう
※1:旧Lactobacillus 属を乳酸菌とした場合。出典:Ogata et al., Microbial Ecology in Health and Disease. 1999 11 (1): 41-46