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からころ×e健康ショップ 連載企画!
2020年3月23日
健康レッスン1・2・3!

【第7回】傷を早く、きれいに治す!知っておきたい「湿潤療法」

傷は、小さくても、痛みを伴います。また、かさぶたがはがれたときに、傷跡が残ってしまうことも……。
最近注目されている「湿潤療法」では、傷を早く治し、傷跡を残すこともありません。

答えてくれた人

後藤和史 さん

祐徳薬品工業株式会社
ヘルスケア営業統括部
東日本営業部 部長


●祐徳薬品工業「カットバンシリーズ」
https://www.yutokuyakuhin.co.jp/product/
後藤和史 さん

切り傷・すり傷は、乾かさずに、潤す!?

手足などにできた傷は、小さくてもズキズキと痛み、気になりますよね。あかぎれで水がしみたり、靴ずれで歩けなかったり……。 これまでの切り傷やすり傷の治療法は、傷の上に絆創膏(消毒ガーゼ)を貼って、傷口を乾燥させて、かさぶたを作ることでした。 しかし最近では、傷口を乾かさない「湿潤療法」が主流になっています。傷口に潤いを保たせたまま密閉する方法で、消毒液も使用しません。かさぶたもできにくいです。

ケガをすると、損傷した組織を修復するために、傷口近くの細胞が呼び集められます。さらに、傷口からは無色透明の体液(滲出液)が出てきます。この滲出液には、呼び集められた細胞の成長を促す働きがあります。この滲出液を傷口周辺に長時間キープする(湿潤状態を保つ)ことで、傷の治りを早めることができるのです。

湿潤療法のポイントは何ですか?

「ハイドロコロイド」という素材を使った傷パッドなどを使用します(*1)。従来の絆創膏は、ガーゼで傷口を保護すると同時に、滲出液も吸い取ってしまっていました。傷口修復のために働いてくれるものを奪い取っていたわけです。

湿潤療法で使うハイドロコロイドは、滲出液にふれるとジェル状に変化して、白く膨らんだ状態になります。この滲出液を充分に含んだジェル状のパッドが傷口を保護してくれるので、傷からの回復も早まります。また、従来の傷口を乾燥させる治療法では、傷口が治ってかさぶたがはがれると、傷跡が残ってしまうことが多くありました。湿潤療法では、かさぶたが作られにくいため、傷跡も残りにくいです。

湿潤療法

なぜ、消毒しないほうがいいのですか?

傷ができると、ついつい消毒したくなりますよね。でも、消毒液にはマイナス面もあります。悪い菌を攻撃すると同時に、傷を治そうとする細胞や滲出液にも攻撃をかけてしまいます。湿潤療法では、消毒薬を使わずに、水道水で傷口についた汚れをていねいに洗い流します。石けんも使用しません。そうすることで、滲出液の働きを阻害することなく、傷口の修復に活躍してもらうことができるのです。

ハイドロコロイドの使用上の注意点は何?

ハイドロコロイド素材の傷パッドを貼るときは、1分間くらい手で温めてから貼るようにしてください。ハイドロコロイドが柔らかくなって密着性が向上し、効果が高まります。 また、シワが寄ると皮膚と絆創膏の隙間から細菌が入り込むので、ピタリと貼るようにしましょう。貼った後も1分ほど手で押さえていると、皮膚になじんで、はがれにくくなります。

ハイドロコロイド素材の傷パッドは、防水性が高いため、水にぬれても簡単には、はがれません。最長で5日間は使用できます。 ただし、傷口が感染を起こしていないことを確認するために、定期的に確認することが大切です。 傷口が熱っぽくないか、臭いがないか、赤くなっていないか……。異常を感じた場合には一度はがして、傷口の状態を確認するようにしてください。まれに、数日間貼り続けるとはがれにくくなることもあります。そのような場合には、温水をかけながらめくれば、無理なくはがすことができます。

湿潤療法が不向きな傷もありますか?

ハイドロコロイドは、患部に直接作用して、傷を治す薬品ではありません。細胞が本来持っている「傷を修復する力」をサポートする助っ人です。ですから、糖尿病による血行障害などを持つ人や、持病で抵抗力が弱まっている人は、使用を控えてください。細菌感染のリスクが高くなってしまうためです。また、皮膚が薄くて敏感な2歳以下のお子さんも使用できません。ペットにかまれた傷や、深い刺し傷などの場合は、細菌に感染しているおそれがあるので、消毒が必要です。このような場合は、まず、医療機関に相談しましょう。

湿潤療法のコツ

自然治癒力を高め、キズを早くきれいに治す「カットバン リペアパッド」