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からころ×e健康ショップ 連載企画!
2022年3月22日
健康レッスン1・2・3!

【第15回】食後の血糖値、中性脂肪の上昇を抑える!食物繊維のすごいはたらき

健康診断の結果を見て、血糖値や中性脂肪の値が気になる…ことはありませんか?
食物繊維にはお腹の調子を整えるほかに、食後の血糖値や中性脂肪の上昇を抑えるはたらきもあります。
食物繊維のはたらきと、上手な摂り方をご紹介します。

答えてくれた人

株式会社マンナンライフ

営業開発本部 商品開発部 新規開発課
鴨井 聖広さん


●マンナンライフ
https://www.mannanlife.co.jp/
鴨井 聖広さん

食物繊維は消化されずに大腸まで届く

食物繊維というと、なんとなく体によさそうなイメージがありますよね。
食物繊維とは小腸で消化されず、大腸まで達する食品成分のことです。食品を分解する役目を果たすものを「酵素」と言いますが、食物繊維は人が持っている消化酵素では消化できません。 ちなみに糖類やたんぱく質などは酵素によって消化・吸収され、体の栄養になるわけです。

食物繊維には、水に溶ける水溶性と、水に溶けない不溶性があります。
水溶性のほうは、大腸にいる善玉菌のエサになります。善玉菌が増えると腸内環境はよくなります。腸内細菌は免疫力を高めるはたらきにも関係があり、最近、注目を集めていますね。
不溶性の食物繊維は、水に溶けませんが、水分を多く含むことができるので、大腸内で大きくふくらみます。それが大腸の動きをよくし、効果的に排便をうながします。
食物繊維には大腸内の環境を整え、便を排出しやすくするというはたらきがあるのです。

悪玉コレステロールや塩分をいっしょに排出

食物繊維の「お腹の調子を整える」というはたらきについては、すでによく知られていますが、じつはこのほかにも、食物繊維には重要なはたらきがあります。
食物繊維は消化されないまま大腸に達し、そのまま排出されます。そのとき、大腸内にたまっている悪玉と呼ばれるLDLコレステロールや塩の主成分であるナトリウムを包み込んで、いっしょに排出しています。
先に食物繊維には水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性があるとご説明しましたが、不溶性の食物繊維の細胞は網の目のような構造をしているので、他の成分をごそっとからめ取ることができるのです。

LDLコレステロール値を下げることは、動脈硬化の予防になります。また、ナトリウムを減らすことは、血圧を下げることにつながります。
大腸に有害な成分を滞留させないことは、大腸そのものにもよいことです。日本人のがんでもっとも多い大腸がんの発生を抑える効果があるといわれています。
食べたすぐあとにも、いい効果があります。ごはんやパンなどの炭水化物を食べると、糖分が体に吸収されて血糖値が上がりますね。食物繊維は消化されないだけでなく、ごはんの糖分にからみつき、体内に吸収されるのをジャマしてくれます。糖分の吸収がゆるやかになり、食後の血糖値の上昇が抑えられるというわけです。
食物繊維のはたらき

1日1回、白飯を玄米にかえるだけでも

食物繊維の毎日の摂取量の目安は、18歳~64歳の男性は21g以上、女性は18g以上です。
じつは日本人の食物繊維の平均摂取量は減少しています。1950年代には20g以上でしたが、最近は14gくらいです(図2)。
食物繊維を十分に摂取するには、主食の穀物から摂るのがいちばんラクです。ごはんは白米だけでなく、玄米や麦、胚芽米などを加えてみてはいかがでしょうか。1日1回、白飯を玄米にかえるだけでも食物繊維の摂取量はアップします。パン食なら、食パンよりライ麦パンがおすすめです。

食物繊維を多く含む食品は野菜、豆類、海藻類などです。
食物繊維は、食事の最初に食べるとより効果的です。糖分の吸収をジャマしてくれるので、ごはんより先に食べたほうがいいのです。野菜サラダやおみそ汁のワカメなどから食べましょう。
食事だけでは十分な量が摂れないときは、おやつも利用しましょう。果物やナッツ類には食物繊維が比較的多く含まれています。また食物繊維が含まれる飲み物やゼリーなどもあります。
毎日おいしく続けられる食品を探してみませんか?
食物繊維摂取量の状況

イラスト:matsu