広川雅之(ひろかわ・まさゆき)先生
お茶の水血管外科クリニック(東京医科歯科大学血管外科講師)
「むくみ」とは、足の皮下脂肪の表面に水がたまっている状態を指します。「足がだるい」「夕方になるとむくむ」などの症状は、「筋ポンプ作用」(ふくらはぎの筋肉が収縮/弛緩を繰り返すことで、深部静脈を圧迫して血液を心臓に戻す働き)がうまく作用せず、水が足にたまっているためにおこります。
また、足の血管が膨れて、こぶのようになる病気を「下肢静脈瘤」と呼びますが、この病気を患うと、だるさやむくみなどの諸症状が日常的に起こります。
「弾性ストッキング」は、正しいサイズを正しく着用することが大切です。サイズが合っていないものを履いていても効果は得られません。選ぶポイントは、
(1)サイズは合っているか
(2)圧迫圧は適切か
(3)生活にあったタイプか
です。
(1)サイズは基本的に足首の太さや足のサイズでS~Lを選びます。メーカーによって身長などが基準になることもあるので、サイズ表を確認しましょう。
(2)医療用には弱圧、中圧、強圧があります。市販のストッキングはほとんどが弱圧なので、軽いむくみ程度でしたら市販のもので問題ありません。制服などの関係で昼間に着用できない方は、就寝時に弱圧の「夜間弾性ストッキング」を利用することもできます。
(3)タイプは3種類。膝下までのハイソックスタイプ、太ももまでのストッキング、お腹まであるパンティストッキングタイプです。
効果はあまり変わらないので、履き心地や好みに合わせて選んでください。
まずは1~2週間程度市販のものを着用し、効果が感じられなかったり、悪化した場合は、下肢静脈瘤の専門医療機関を受診しましょう。
メーカーによって若干の違いがあるので、病院にある弾性ストッキングを試着してから購入するのがおすすめです。医療機関のなかには「弾性ストッキング・コンダクター」という専門家が、選び方やサイズの判断から着用後の問題点などの相談にのってくれます。コンダクターがいるかどうかはクリニックのHPで確認してみてください。
(1)サイズがあったものを選ぶ
医療用弾性ストッキングはサイズや丈の長さ、柄も種類が豊富。メーカーによって同じサイズでも型が異なるので、なるべく試着して自分にフィットするものを選びましょう。
(2)自分のペースで着用する
むくみの症状の顕著な時間帯も人それぞれ。夕方以降にむくむ方は、日中に着用して。仕事中に着用できない方なら就寝時だけでも効果あり。無理のないペースでの着用をオススメします。下肢静脈瘤と診断されても、だるさやむくみの自覚症状がない場合は無理につけなくてOKです。
(3)不安な場合は医師に相談する
むくみの原因はさまざま。「効果がない」「悪化してる」と感じる場合は専門機関を受診して。クリニックによっては「弾性ストッキング・コンダクター」がいて、悩みや不安を解決する手助けをしてくれます。