塚原正也(つかはら・まさや)さん
ライオン株式会社 ヘルス&ホームケア事業本部
入れ歯はあごの粘膜に唾液によって吸いつきます。しっかり吸いついてくれれば安定剤は必要ないのですが、とくに初心者の方々には違和感を訴える方が多い。
また、歯が抜けて時間が経つと、あごの骨の量が減り、歯ぐきの形も変わるので、徐々に入れ歯と歯ぐきの間にすき間ができてしまうので、安定剤の助けを借りることになります。
入れ歯をしめらせ、床に粉末をふりかけて装着します。準備が簡単で、違和感が少ないのがメリット。はずした後は口をすすぎ、入れ歯も水洗いがラク。ただし、粘着力は他のタイプに比べると、強くありません。唾液の少ない方はあまり効果が期待できません。
「無臭」「香りつき」など好みで使い分けてください。
入れ歯の床にクリームを塗って装着します。準備が簡単で、粉末タイプより粘着力が強いのがメリット。ただし、はずしたときに入れ歯や口腔内にクリームが付着していたら、取り除く必要があります。商品によって粘着力と質感(ざらつき)に差があるので、試してみてください。
クリームタイプと同等の粘着力があります。持ち運びに便利なのが特徴です。水につけたシートを入れ歯の床に貼りつけて装着してください。
上あごと下あごに合わせた商品と、両方に使える短い帯状の商品の2種あります。ご自分の入れ歯に合うなら前者が便利。部分入れ歯に使うなら後者です。
(1)~(3)の粘着タイプにくらべて、食べかすが侵入しにくい。かんだときの歯ぐきの痛みもやわらぎます。
クリームタイプとシートタイプは熱いお茶を飲んだときに多少口のなかがベトつきますが、このタイプは溶け出しません。入れ歯に安定剤をつけたまま水洗いできるので、2〜3日間続けて使用できます。ただし、クッション剤が入れ歯や口腔内にこびりついたら取り除く必要があります。
色は、透明、白色、ピンク色の三色。白色は入れ歯に塗ったところがわかりやすく、ピンク色は装着時に目立ちません。
使い方は、入れ歯の床に指で塗り広げて、かみしめ、床からはみ出た分を取り除いて装着。少し手間がかかるのが難点です。
アルコール( エタノール)含有商品もあるので、過敏症の方は要注意です。
長期連用にも気をつけてください。歯ぐきに刺激が伝わりにくくなり、歯茎がやせたり、噛み合わせが悪くなったりすることがあります。固くなって入れ歯からとれなくなってしまうこともあるので、注意書きをしっかり読んで、無理な連用は避けてください。
入れ歯安定剤は、あくまでも一時的に利用するものです。入れ歯が合わないな……と感じたら、まよわずに歯科医を受診することをおすすめします。