田中大樹(たなかひろき)さん
白十字株式会社 マーケティング部 商品戦略課 課長代理
基本構造は同じで、おむつの中の吸収体が尿を吸収します。「大人用紙おむつ」は、子ども用よりサイズと吸収量をアップさせてあり、トイレでの排泄がむずかしい大人に使っていただくものです。
在宅介護の方が増えて、いまでは、ドラッグストアやスーパーなどで手軽に購入できるようになりました。
市販のほとんどのおむつは男女兼用です。通常のパンツよりも通気性がよく、肌ざわりも快適ですから、違和感はほとんどありません。1回約150ccの尿量が想定されていて、「2回分」から「12回分」までさまざまな吸水量のものが用意されています。
軽い尿もれの方は、「吸水パッド」から使いはじめてみてください。
それでも間に合わなくなったときに、より吸収量の多い(1)パッドタイプや(2)パンツタイプ、(3)テープタイプの使用を検討しましょう。大切なのは、使用者の体の状態を見きわめること。
歩ける方は、(2)の「パンツタイプ」でOKです。まずは外出時や夜間など、心配なときだけ使いましょう。
ひんぱんにおむつを交換される方や少しでも節約したいとお考えの方は、(1)の「パッドタイプ」を併用してみましょう。座ったままでも、寝たままでも、比較的交換しやすいのもメリットです。
寝たきりの方は、(3)の「テープタイプ」が便利。つけたご本人が寝たままの状態でも、介護する人が簡単に交換できます。「パンツタイプ」同様、パッドタイプの併用もおすすめです。
健康のことを考えると、ほんとうは、なるべくおむつは使わないほうがいい。一度おむつを使うと、トイレに行きにくくなってしまうからです。日常の運動量が減れば、体の機能低下を進行させることにつながり、介護する人の負担も増えます。
おむつ使用開始前に、まずはベッドからトイレまでの経路を見直しましょう。廊下に手すりを付ければ自力でトイレに行けるようなら、それにこしたことはありません。
トイレで排泄しやすい環境をなるべく整えてあげて、それでもむずかしい状態になったら、はじめておむつを使うことを考えていただきたいと思います。
おむつを使いはじめても、できるかぎりトイレで排泄するように心がけてださい。
ただし、座った姿勢を維持できない場合は、転倒予防のために、必ず介助者の助けを借りましょう。
1日に何度おむつを交換できるかを考えて、適切な吸水量の商品を選択することも大切です。
おむつを使っていると、どうしてもムレて、肌トラブルを起こしやすい。なるべくこまめに交換しましょう。長時間交換できない場合には、12回分の尿を吸収できる高吸収タイプを使用することも1つです。素肌と同じ弱酸性の素材を使用した、肌にやさしいおむつもあります。
材質や形状など、現在おむつはじつに多種多様。つけ心地のよさも重視して、快適に過ごせるものをぜひ選んでいただきたいですね。