鎮痛剤を飲む回数が増えすぎたり複数の鎮痛剤を飲むようになると、かえって痛みを感じやすくなり、慢性的に頭痛を感じる「薬剤誘発性頭痛」を招いてしまうことがあります。また、薬の多用による胃腸障害を引き起こす可能性もあります。
週に2日以上鎮痛剤を飲む状態が3ヶ月以上続いている場合や、複数の鎮痛剤を飲まないと頭痛が治まらない場合には受診し医師に相談しましょう。
日頃から頭痛に悩んでいる人は体質改善による予防に漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
「葛根湯(かっこんとう)」は緊張型頭痛に有効な漢方薬としてよく使われています。葛根湯には身体を温め血行を改善し、肩のはりや痛みをとる
“葛根(カッコン)”や身体を温める作用のある
“桂皮(ケイヒ)”、急激な筋肉の痛みやけいれんを鎮める
“芍薬(シャクヤク)”などが含まれています。葛根湯は比較的体力がある人に向いており、肩凝りや上半身の凝りで筋肉が硬くなっている時や風邪の引きはじめにみられる肩凝りにも効果があります。
また、
「釣藤散(ちょうとうさん)」は耳鳴りやめまいを伴い、首の後ろから側頭部にかけておこる頭痛を改善します。
主薬である
“釣藤鈎(チョウトウコウ)”には、脳血管を広げて脳循環をよくする働きがあるといわれています。加えて、充血や炎症を抑えのぼせをさます
“石膏(セッコウ)”や、痛みを発散する
“防風(ボウフウ)”、
“菊花(キッカ)”が含まれています。釣藤散は中年以降で高血圧の傾向がある人に向いている漢方薬です。
仕事や寝不足などのストレスが溜まったり、強い神経不安を感じると耳鳴りや頭痛が起きることがあります。このような時の頭痛はヘルメットをかぶったように重く感じたり、ズキズキと脈を打つように痛むのが特徴です。このような状態を東洋医学では体内の水の流れが頭部で滞っている
“水毒(すいどく)”と考えます。この頭痛には
「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」が適しています。
苓桂朮甘湯に含まれる生薬のうち、
“茯苓(ブクリョウ)”と
“白朮(ビャクジュツ)”は尿量を増加させ、めまいや耳鳴りの原因となる頭部での水の滞りをとり除きます。また、
“甘草(カンゾウ)”と
“白朮(ビャクジュツ)”は一緒に働いて体の気(エネルギー)を補うような働きをし、
“桂皮(ケイヒ)”が体をあたため冷えを改善します。この漢方薬はもともと体が弱くて低血圧や冷え性があり、夜はいつまでも起きていて朝はなかなか起きられないタイプの人に向いています。