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専属薬剤師監修のオリジナル記事「知っておきたいセルフメディケーションコラム」健康管理には、日頃から適度な運動と栄養バランスのよい食事に気をつけ、しっかりと睡眠時間をとり、自然治癒力を高めることが大切です。 かぜや軽いケガなどの軽度な体調不良は、OTC医薬品(一般用医薬品)を利用して、自分で手当てすること(セルフメディケーション)も健康管理に役立ちます。体との関係を知って上手に取り入れましょう。

2019.8.16

第49回 海外旅行に持参したい薬 ~旅行中のセルフケア~ その2

前回に続き、海外旅行に持参したい薬として今回は主に「外用薬」についてお話しします。
海外旅行に持参したい薬

虫さされに ~かゆみ止め等(例)~

かゆい虫さされ。かゆみや腫れ等は、かゆみの原因物質が出て、炎症がおこり、かゆみ神経が興奮しておこります。かゆみ止めの薬効成分は、抗ヒスタミン成分、炎症を抑える成分、殺菌成分等です。抗ヒスタミン薬成分は、ジフェンヒドラミン塩酸塩等で、かゆみの主な原因物質のヒスタミンを抑え、かゆみを鎮めます。

炎症を抑える成分は、ステロイド(デキサメタゾン酢酸エステル等)、非ステロイド(グリチルレチン酸等)があります。殺菌成分は、傷口の化膿を抑えます。剤形は、クリーム、液体、かきこわしを防ぐ貼るタイプ等があります。
ムヒアルファSII 15g
指定第2類医薬品
950円(税込)
かゆみ止め成分ジフェンヒドラミン塩酸塩を2倍に増量し、効き目のすばやさにこだわった「瞬感処方」です。かぶれや湿疹にも効く、使用感のよいクリームです。

インセクト ポイズンリムーバ
1,188円(税込)
蜂・蚊・毒虫に刺されたら、ポイズンリムーバーを刺された部分に当てレバーを持ち上げ注入された毒を吸い出します。繰り返し何回も使用できます。


感染予防に ~虫よけ・虫ケア用品(例)~

デング熱、ジカウイルス感染症やマラリア等感染症が流行している地域があります。
感染を防ぐには、何より蚊にさされないことです。肌が露出しないような服装や靴にする、虫よけを使用する等の対策が重要です。

からだ用虫よけ成分には、ディート(DEET)、イカリジンがあります。2019年8月現在、日本で承認されているからだ用虫よけで有効成分が高濃度のものは、ディートが30%、イカリジンが15%です。有効成分が高濃度の方が、効果が長く持続します(ただし、発汗等で変わります)。ディートは、イカリジンに比べ多種類の虫に効能があります。

蚊媒介感染症の予防対策は、医薬品(ディート12%以上)、医薬部外品(ディート、イカリジン)のからだ用虫よけを用法・用量や使用上の注意を守り、適正に使用します。[*3][*4]
からだ用虫よけは、広範囲にスプレーしやすいエアゾールタイプ、舞い散りが少なく、携帯に便利なミストタイプやジェルタイプ、シートタイプがあります。その他、服の上から使用するタイプ(雑貨)。空間用虫よけでは、ホテル等での防蚊対策に、室内用の蚊取りスプレー等があります。

からだ用の虫よけを塗る際のポイント
・日焼け止めを先に塗ってから、次にその上から虫よけを塗りましょう。
・塗りムラがないようしっかり塗り広げましょう。顔や首筋は手の平に噴霧してから塗るとよいでしょう。
・汗や雨等で流れた場合は、適切に塗りなおしましょう。
※ディートには、プラスチックや合成繊維(アセテート、ウレタン等)を傷めるという性質があります。
スプレーする際には、腕時計、プラスチック製品、ストッキング、アクセサリー等に液がかからないように注意しましょう。
ディートの小児使用制限について
ディート含有30%製品は、12才未満は使用できません。ディート含有12%以下の製品は、乳幼児(6ヶ月未満除く)及び12才未満の小児は、以下の回数を目安に使用してください。また、顔には使用しないでください。[*3][*4]
 ■ディート 小児使用制限 ※使用方法の詳細は、各製品の使用上注意をお確かめください。
ディート濃度 <小児>使用上の注意
ディート30% 12才未満は使用できません

ディート12%以下
6ヵ月未満の乳児 使用しない
6ヵ月以上2才未満 1日1回 ※顔に使用しない
2才以上12才未満
1日1~3回 ※顔に使用しない

ディート医薬品
サラテクトミスト リッチリッチ30(60mL)
第2類医薬品
950円(税込)
12才未満は使用できません。高濃度 機内持ち込み可能。

ディート医薬部外品
サラテクト ティッシュ(15枚入)
医薬部外品
369円(税込)
ティッシュタイプなので、とび散ることもなく安心です。

イカリジン
天使のスキンベープ ミスト プレミアム(60mL)
防除用医薬部外品
842円(税込)
有効成分<イカリジン>の濃度を15%まで高めたことによって、虫よけ効果が長持ちします。

服の上から
イハダ アウトドアスクリーン(50mL)
972円(税込)
香りのバリアで虫を寄せ付けない。ディート無配合のアウトドアスプレー。


眼のケア ~点眼薬・洗眼液(例)~

抗菌目薬は、海やプールの後の眼病予防等に使用します。
洗眼液は、花粉、黄砂、虫等が入った時等にあるといいでしょう。
点眼液
サンテメディカル抗菌 0.3mL×20本
第2類医薬品
1,598円(税込)
抗菌成分が細菌の繁殖を抑制、抗炎症成分が患部の炎症を抑え、 ビタミン、アミノ酸類が傷ついた組織の代謝を促進、ものもらい(麦粒腫)、結膜炎などに対応。

洗眼液
ウェルウォッシュアイ 10mL
第3類医薬品
486円(税込)
点眼タイプの洗眼薬で、手軽に持ち歩けて使い方も簡単です。

筋肉痛などに ~湿布薬等(例)~

旅行で歩き過ぎて足が痛くなったり、重い荷物や長時間の移動等で腰が痛い時などに使います。
のびのびサロンシップFα ハーフ(12枚)
第3類医薬品
972円(税込)
はがれにくくて、におわない、心地良い冷感刺激。

ハリックス55EX 温感A(10枚)
第3類医薬品
916円(税込)
血行を良くし、コリ・痛みをやわらげる。


ちょっとしたケガに ~きず薬、絆創膏・救急セット(例)~

きず薬
ラッパ 整腸薬 BF(24袋入)
第2類医薬品
324円(税込)
殺菌効果に優れたクロルヘキシジングルコン酸塩配合の皮膚疾患・外傷治療薬です。

絆創膏・救急セット
ケアリーヴ CL36-3(Sサイズ10枚・Mサイズ20枚・Lサイズ6枚入)
626円(税込)
素肌のような貼りごこち。多彩な形状でキズをサポート!


感染予防に~手指の消毒(例)~

手ピカジェルプラス(60mL)
指定医薬部外品
648円(税込)
抗微生物効果をより高め、ノンエンベロープウイルスなど、より広範囲のウイルス・細菌に対しても効果を発揮。

スコッティ ウェットティシュー 消毒(10枚)
指定医薬部外品
194円(税込)
手指のバイ菌を素早く消毒するウェットティシュー。


乾燥、感染予防対策に ~マスク(例)~

快適ガードプロ のど潤いプラス レギュラーサイズ(3セット入)
421円(税込)
ウェットフィルターがマスクの内側を加湿状態にし、乾燥したのどをうるおします。

スマートハイジーンサージカルマスク 白 ふつうサイズ(30枚)
540円(税込)
個包装で衛生的なPM2.5対応マスク。


海外渡航時の薬の持ち込みについて

*常に最新の情報をお確かめください。
渡航先の薬の持ち込み制限
薬は、日本から持ち出しできても、渡航先に持ち込みできない場合があります。特に持ち込み禁止成分は、注意が必要です。

例えば、米国では、フルニトラゼパム(商品名:ロヒプノール、サイレース等)等持ち込み禁止薬物があります。もし、これらを持ち込む必要がある場合は、医師の診断書と処方箋(コピー可)、を用意します(日本語の場合は、英訳文と翻訳者のサインを記入する)。 常習性のある薬物や麻薬(例: 咳止め薬、精神安定剤、鎮静剤、睡眠薬、抗うつ剤、興奮剤))も同様に医師の英文診断書と英文処方箋(コピー可)を用意します。[*6]

処方薬で成分名等わからない場合は、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。また、持ち出す量も自身が使用する適切な量にします。渡航先の薬の持ち込み禁止や制限、量等は、各国で法規制が異なりますので、渡航先の駐日大使館等への確認するとよいでしょう。
 ●駐外国公館リスト 大使館(外務省サイト)

英文薬剤証明書
英文薬剤証明書は、携帯薬が自己の疾病治療目的のものと証明する書類です。
手荷物検査や入国審査で聞かれた際、無用なトラブルを避ける為にも英文薬剤証明書があれば安心です。処方薬の英文薬剤証明書の作成は、処方医や薬剤師に依頼する、英文証明書作成の専門医に翻訳依頼する等の方法があります。

OTC医薬品は、中身が何かわかる様に商品の元の箱に入れ、薬の添付文書を持っているとよいでしょう。
英語版のくすりのしおりは、以下をご確認ください。
 ●英語版のくすりのしおり(くすりの適正使用協議会(RAD-AR)サイト) ※掲載商品は一部です。

医療用麻薬・向精神薬(日本を出入国する場合)
処方された患者さんが自己の疾病治療目的で携帯して日本を出入国する際、向精神薬(注射剤を除く)は、定められた総量(1カ月分程度)を超えない場合は手続き不要です。医療用麻薬は、事前に許可が必要です(地方厚生局(支)局長へ2週間前までに申請)。他に、持ち出し禁止薬物があります。
詳細は以下の「厚生労働省地方厚生局麻薬取締部サイト」をご確認ください。
 ●麻薬等の携帯輸出入許可申請を行う方へ(厚生労働省地方厚生局麻薬取締部サイト)[*7]
なお、渡航先の携帯輸出入の可否等は、渡航先の駐日大使館等にお問い合わせください。

飛行機内への薬の持ち込み
預託荷物は、紛失する場合がありますので、持ち込みできる薬は、機内持ち込み手荷物に十分な量を入れておくとよいでしょう。なお、100mL(g)以下の容器の液体、軟膏、クリーム等は透明のジッパー付ビニール袋に入れておきます。(袋のサイズ目安20cm×20cm、1L以下、1人1個)[*8]

■持ち込み規制の例外的措置(機内で必要な量に限る)
医薬品類は持ち込み規制の例外的措置がとられています。
100mL(g)を超える液体物の薬、他にも喘息の吸入薬等の医薬品は、機内で必要となる量に限り持ち込みが認められています。また、機内で必要となる医療機器(注射針等)も持ち込みが認められます。
ただし、検査員に申告が必要で、検査員から持ち込みが必要とされる証拠(処方せんの写し等)の提示を求められる場合があります。詳細は、出発前に利用する各航空会社にお問い合わせください。[*8、9]

■350mL(12oz)以上の粉類の持ち込み禁止
保安上の理由から、350ml(12oz)以上の粉類は機内への持ち込みを禁止している場合があります(例:米国行き国際線、オーストラリア発国際線、ニュージーランド発国際線)。ただし、セキュリティーチェックを通過した医薬品、乳児用粉ミルク、残骨灰は対象外です。[*10]
詳細は、出発前に利用する各航空会社にお問い合わせください。

いかがでしたでしょうか?
海外旅行を健康で安全に過ごすためには、最新の情報収集が大切です。
わたしは、外務省の海外安全情報配信サービス「たびれじ」に登録してみました。
渡航先の情報を、旅行前から旅行中も受け取ることができる無料サービスです。簡易登録でも外務省サイトに掲載の各国の感染症情報、安全対策基礎データー、医療事情等がメール配信され手軽に確認できるので便利です。セルフメディケーションで、海外旅行を元気に楽しくお過ごしください。

 ●外務省海外安全情報配信サービス たびれじ(外務省サイト)
 ●海外安全情報 外務省海外安全性ホームページ(外務省サイト)
 ●海外渡航・滞在 世界の医療事情(外務省サイト)