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専属薬剤師監修のオリジナル記事「知っておきたいセルフメディケーションコラム」健康管理には、日頃から適度な運動と栄養バランスのよい食事に気をつけ、しっかりと睡眠時間をとり、自然治癒力を高めることが大切です。 かぜや軽いケガなどの軽度な体調不良は、OTC医薬品(一般用医薬品)を利用して、自分で手当てすること(セルフメディケーション)も健康管理に役立ちます。体との関係を知って上手に取り入れましょう。

2024.07.05

第59回 水虫の治し方

step1:家庭内感染はバスマットから

水虫は白癬菌(真菌というカビの一種)によって起こる感染症です。白癬菌はありふれた常在菌で、足の皮膚や皮下組織を侵食しかゆみや炎症を引き起こします。
水虫は3つのタイプにわかれます。角質増殖型はほとんどかゆみを伴わないため、水虫と気づかず他人にうつしてしまうこともあります。家庭内では、バスマットを介して感染するケースがほとんどです。湿ったバスマットはカビにとってすみやすく、はがれた足裏の角質などの栄養が豊富。こまめに洗い、日干しして清潔に保ちましょう。家庭内感染をかなり予防できます。
水虫のタイプ
とくに注意してほしいのが糖尿病の患者さんです。菌に対する抵抗力が低下しているため、感染しやすく、治りにくいからです。また乾燥肌の人も皮膚のバリア機能が低下しているため、水虫に感染しやすいと考えられています。
水虫と間違えやすい病気に掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)やかぶれ、アレルギー性皮膚炎などがあります。これらの治療にはステロイド薬が使用されることがありますが、水虫にステロイド薬を使うと悪化してしまうので、その際はきちんと皮膚科を受診しましょう。

step2:市販薬はスイッチOTCが充実。効き目で選ぶなら軟膏

現在、外用治療薬の多くはスイッチOTC(*)として市販されています。どの成分も水虫に対してきちんとした効能を有しますが、新登場の成分や症状を抑える成分が多く含まれている薬ほど高価になります。
軟膏、クリーム、液剤、スプレー、ジェルなどさまざまな剤形がありますが、有効成分が長時間にわたり患部に留まるため効果が高いのは軟膏です。ただ、ベタベタして使いにくいという声もあるため、クリームやジェル状の製品も増えています。
足の裏全体など広範囲に塗りたい場合は液剤やスプレーが便利です。スプレーの場合はパウダー入りのほうが、成分の滞留時間は長くなります。入浴後など足を清潔にしてから使用しましょう。

step3:最低でも1か月は続ける。患部の周辺にも塗り込む

水虫は、治ったように見えても薬をやめるとぶり返します。かゆみがなくなっても皮膚の奥にカビが生き残っているからです。皮膚細胞が完全に入れ替わるまで、少なくとも1か月は毎日薬を塗り続ける必要があります。患部の周辺まで広めに薬を塗ることも大事です。
小指と薬指の間にかゆみがある場合は小指の爪にも注意。爪が変形していると、皮膚とのすき間にカビが潜みやすくなります。爪まわりにも塗りましょう。ただし、水虫が爪に侵食した場合は市販薬だけでは治療できません。必ず皮膚科を受診してください。