ホーム  >  セルフメディケーションコラム  >  第49回 海外旅行に持参したい薬~旅行中のセルフケア~(1)

専属薬剤師監修のオリジナル記事「知っておきたいセルフメディケーションコラム」健康管理には、日頃から適度な運動と栄養バランスのよい食事に気をつけ、しっかりと睡眠時間をとり、自然治癒力を高めることが大切です。 かぜや軽いケガなどの軽度な体調不良は、OTC医薬品(一般用医薬品)を利用して、自分で手当てすること(セルフメディケーション)も健康管理に役立ちます。体との関係を知って上手に取り入れましょう。

2019.6.5

第49回 海外旅行に持参したい薬 ~旅行中のセルフケア~ その1

海外旅行、元気に楽しむには体調管理が大切です。旅行中に「処方薬が足りない」、「常備薬を持って来ればよかった」とならないために準備は万全にしたいです。
ここでは、海外旅行に持参したい薬・衛生用品等の準備メモ、常備薬等の商品例、海外渡航時の薬の持ち込みについて2回に分けてお話しします。
スイッチOTC

持参したい薬・衛生用品等

海外旅行では、食事や気候の変化、移動等の疲れから体調を崩しやすくなります。軽い症状ならセルフケアできますが、旅先では、すぐに薬が手に入らない場合があります。また、海外の薬は、「言葉がわからない」、「量が多いけど、大丈夫?」、「ニセ薬でないか不安」ということも。そこで、使い慣れた薬・衛生用品を持参していれば安心です。メモは、準備の参考に役立ててください。

準備メモ

 常用薬  必ず持参
処方薬は、かかりつけ医師と相談し、予備分として旅行日程より少し多めに用意すると良いでしょう。紛失や予定日に帰国できない場合があります。
 常備薬  旅行先(気候、感染症の流行等)、目的(観光、登山等)に合わせて持参
かぜ薬、解熱薬・鎮痛薬、咳止め、胃薬、整腸薬、便秘薬、下痢止め、乗物酔い止め、かゆみ止め、虫よけ、点眼薬、湿布薬、きず薬
 衛生用品・その他 
手指の消毒液、マスク、絆創膏、ガーゼ、包帯とテープ、綿棒、ピンセット、はさみ、体温計、ウエットティッシュ、日焼け止め
*渡航先によっては、マラリア予防薬、高山病の予防薬。

常備薬(OTC医薬品)・衛生用品等 ~参考例~

商品の参考例をご紹介します。薬は説明書全体を良く読みます。持参する薬同士の飲み合わせの確認も大切です(例:総合かぜ薬、乗物酔い止め、解熱鎮痛薬等)。薬でわからない事は、薬剤師や登録販売者に相談します。処方薬や持病のある方、妊娠中の方は、かかりつけ医師、薬剤師に事前に相談しましょう。

かぜの諸症状に ~かぜ薬(総合かぜ薬・漢方薬)(例)~

飛行機は乾燥していて、寒い場合もあり、かぜを引いてしまうことも。かぜは早めの休養が大切です。総合かぜ薬は、かぜの諸症状をやわらげたい時に使用します。「のどの痛み」、「熱」、「鼻水」等の症状に合わせ、配合成分を工夫した薬もあります。
解熱鎮痛成分は、イブプロフェン、アセトアミノフェン等です。イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬で、熱、痛みや炎症を抑え、アセトアミノフェンは、熱、痛みを抑えます。小児のかぜ薬では、主にアセトアミノフェンが使用されています。解熱鎮痛の相乗効果を期待して、アセトアミノフェンと他の解熱鎮痛薬が配合された薬もあります。抗ヒスタミン成分は、鼻水やくしゃみ等をやわらげます。他、鎮咳去痰成分等です。咳止め成分のコデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩を含む薬は、12才未満の小児は原則使用しない様注意喚起されているので注意が必要です(海外で、呼吸抑制の副作用報告があり、その予防的措置のため)。
多くの成分が配合されているので、解熱鎮痛薬、乗物酔い止め、咳止め等の他の薬との飲み合わせや、使用してはいけない人等を確認します。
漢方薬では、葛根湯等があります。葛根湯は、発汗前の寒気、頭痛等のかぜの初期に使います。詳細はセルフメディケーションコラム第32回をご覧ください。
ここでは、総合かぜ薬は、解熱鎮痛成分(イブプロフェン主剤、アセトアミノフェン主剤、アセトアミノフェン他解熱鎮痛成分配合剤)、咳止め成分(コデイン類含まない)、こども用から選べる様に分けました。他、漢方薬・生薬です。
常備薬
解熱鎮痛成分:イブプロフェン主剤
(非ステロイド性抗炎症薬)
ルルアタックEX 12錠
指定第2類医薬品
1,166円(税込)
2つの抗炎症成分トラネキサム酸、イブプロフェンが、つらいカゼ症状のもととなる炎症を抑え、のどの痛み、熱などに優れた効果を発揮します。

解熱鎮痛成分:アセトアミノフェン主剤
ベンザブロックS 18錠
指定第2類医薬品
1,312円(税込)
鼻水・鼻づまりによく効くかぜ薬アセトアミノフェン

解熱鎮痛成分:アセトアミノフェン他解熱鎮痛成分配合剤
パイロンPL顆粒 12包
指定第2類医薬品
1,350円(税込)
サリチルアミドとアセトアミノフェン

咳止め成分:コデイン類含まない *デキストロメトルファン臭化水素酸塩等含む
ルルアタックTR 12カプセル
指定第2類医薬品
1,512円(税込)
花粉による鼻づまり、鼻みずに

こども用かぜ薬
ムヒのこどもかぜ顆粒 12包
指定第2類医薬品
1,188円(税込)
お子さま好みの「イチゴ味」の顆粒剤。苦みをなくすW(ダブル)コーティング製法採用により、飲みやすくなっています。

漢方薬・生薬配合薬
カコナール2葛根湯顆粒[満量処方] 6包
第2類医薬品
1,134円(税込)
朝・夕1日2回服用タイプなので飲み忘れが少なく、昼間持ち歩く必要がありません。


発熱、痛みに ~解熱薬・鎮痛薬(例)~

旅先では、頭痛や急な歯痛になる場合も。おかしいと感じたらすみやかに医療機関を受診しますが、軽い症状なら鎮痛薬があると安心です。

解熱鎮痛薬の主な薬効成分について

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 
ロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン、エテンザミト、アスピリン等
熱、痛みや炎症の原因物質が作られるのを抑えて、熱、痛みや炎症を抑えます。胃に負担があるので、製剤を工夫(ロキソニンS等)、胃薬を配合した薬があります。15才未満の水痘やインフルエンザにかかっている小児で、重大な副作用報告があるため、使用制限があります。OTC医薬品では、用法用量に「15才未満の小児は服用しないこと」又は、使用上の注意に「15才未満で水痘やインフルエンザにかかっている又は疑いのある小児は、服用前に医師等に相談すること」の様に記載されていますので、注意します。デング熱でも非ステロイド性抗炎症薬は服用を避けるべきとされています。解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンを使用します。1)、2)
 非ピリン系解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン) 
熱や痛みを抑えます。アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬の様に、解熱鎮痛成分2種類以上含む配合剤と、小児等で使用しやすい解熱鎮痛成分1種類のアセトアミノフェン単剤があります。
 ピリン系解熱鎮痛薬(イソプロピルアンチピリン) 
熱、痛みや炎症の原因物質が作られるのを抑えます。OTC医薬品では、他の解熱鎮痛成分との配合薬に使用されています。ピリンアレルギーの人は使えません。
 ACE処方 
解熱鎮痛の相乗効果を期待してアセトアミノフェンとエテンザミド(非ステロイド性抗炎症薬)に、頭痛を鎮めたりする等作用のある無水カフェインを配合しています。

解熱鎮痛薬を解熱目的で使用する際は、熱症状を見極め、症状により服用前に医師に相談する等、使用は適切に判断します。
解熱鎮痛成分:アセトアミノフェン(単剤)
タイレノールA 10錠
第2類医薬品
792円(税込)
主に脳(中枢神経)に作用し、痛みや熱をおさえます。「空腹時」にものめるやさしさ

解熱鎮痛成分:こども用 アセトアミノフェン(単剤)
小児用バファリン チュアブル 12錠
第2類医薬品
702円(税込)
3才から15才未満のお子さまの、熱や痛熱や痛みを緩和する、胃にやさしい解熱鎮痛薬

解熱鎮痛成分:イブプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬)
セデスキュア 10錠
指定第2類医薬品
302円(税込)
イブプロフェンに、その効果を高めるアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインを配合

解熱鎮痛成分:ACE処方
イブA錠 24錠
指定第2類医薬品
810円(税込)
胃を守る成分を含んだ速く効く解熱鎮痛薬です。眠くなる成分を含んでいません。

解熱鎮痛成分:ロキソプロフェンナトリウム
ロキソニンS 12錠
第1類医薬品
700円(税込)
解熱鎮痛成分が、痛みや熱の原因物質をすばやくおさえ、すぐれた鎮痛効果・解熱効果を発揮


のどの不調に ~咳止め・トローチ等(例)~

熱はなくて咳だけ出る、のどが痛い場合があります。咳は異物を出す生体防御反応です。咳で体力を消耗する等の場合は、咳止めを使用します。コンコンと乾いた咳には、咳中枢に作用し、咳反射を抑えて咳を鎮めるコデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩等成分の薬。痰がからんだ湿った咳は、気管支を広げて呼吸を楽にするdl-メチルエフェドリン酸塩等成分の薬、痰の粘度を下げて出しやすくするカルボシステイン等成分の薬。他に、喉の炎症を抑えるトラネキサム酸等成分、生薬成分等があります。旅先で服用しやすい、水なしで飲める薬や、トローチ等があります。トローチの中には、総合かぜ薬や咳止め等と類似する成分が入っている場合があるので、飲み合わせに注意します。軽いのどの痛みには、医薬部外品のど飴等もあります。
*咳止め成分のコデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩を含む薬は、12才未満の小児は、原則使用しない様注意喚起がされています。(海外で、呼吸抑制の副作用報告があり、その予防的措置のため)ご注意ください。
内服薬
ペラックT錠 18錠
第3類医薬品
1,102円(税込)
トラネキサム酸とカンゾウ乾燥エキスの2つの成分配合。抗ヒスタミン剤を配合していないので眠くなりません。

トローチ・その他(医薬品)
龍角散ダイレクトスティックミント 16包
第3類医薬品
756円(税込)
水なしで服用できる顆粒タイプ、生薬成分が患部に直接作用します。3才~
トローチ・のど飴(医薬部外品)
浅田飴 ガードドロップ ブルーミント味(24粒入)
医薬部外品
378円(税込)
のどの、はれ・痛みに口腔内殺菌成分CPCがとどまる!


胃の不調に ~胃薬(例)~

海外旅行では、油の多い食事や香辛料、飲食のし過ぎに疲れも重なり、胃の不調を感じやすくなります。
食べ過ぎによる胃のもたれや消化不良には、健胃薬や消化酵素があります。健胃薬の生薬成分は、唾液や胃液の分泌を促し弱った胃の働きを回復、消化不良を改善します。様々な症状を改善したい場合は、制酸薬、健胃生薬成分、消化酵素、整腸剤等が配合された総合胃腸薬があります。胃の痛み、胸やけ等を改善したい場合は、胃酸を中和する制酸薬、胃粘膜保護・修復、胃酸の分泌を抑えるM1ブロッカーがあります。さらに胃酸を強く抑えたい場合は、H2ブロッカーがあります。H2ブロッカーは、使用回数等に注意が必要です。
常備薬
健胃薬
セルベール整胃錠 12錠
第2類医薬品
680円(税込)
テプレノンが胃を守る胃粘液を増やし、3種類の生薬が胃をイキイキと動かし、弱った胃を元気にします。

総合胃腸薬
第一三共胃腸薬プラス細粒 12包
第2類医薬品
875円(税込)
6つの生薬成分が弱った「胃」に効き、植物性の乳酸菌「ラクボン」が 「腸」の状態を正常に近づけます。

制酸薬
サクロン 10包
第2類医薬品
950円(税込)
出すぎた胃酸を素早く中和し、安定化葉緑素が荒れた胃粘膜に密着して修復。


お腹の不調に ~整腸薬、便秘薬(例)~

海外旅行では、緊張、水分不足や食事の変化等で一過性便秘になりがちです。睡眠、水分や食物繊維をとるよう心がけたいですが、便秘でお腹が苦しいなんてことも。整腸薬、乳酸菌製剤は、自然に近い排便につながります。膨張性下剤(食物繊維が水分を吸収して膨らむ)、浸潤性下剤(ジオクチルソジウムスルホサクシネートが、便への水分の浸透高める)は、便を軟らかく、膨大させて大腸のぜん動運動を高め、便を出しやすくします。塩類下剤は、酸化マグネシウム等により腸管に水分が移行し、水分で便を軟らかくします。刺激性下剤(ビサコジル、アロエ、センナ等)は、大腸を刺激し、腸のぜん動運動を高め、便を出します。浣腸薬、坐薬は、便が肛門の出口で詰まっている様な場合に使用します。便秘のタイプに合わせて選びます。便秘薬は飲むタイミングも大切です。説明書を確認し、適切に使用します。詳細はセルフメディケーションコラム第35回をご覧ください。
整腸薬・乳酸菌製剤 (OTC医薬品・指定医薬部外品)
ラッパ 整腸薬 BF(24袋入)
医薬部外品
1,080円(税込)
3種類の乳酸菌が優れた整腸効果を発揮

便秘薬
オキナゾールL100 6錠
指定第2類医薬品
905円(税込)
食物繊維(プランタゴ・オバタ種皮)と生薬(センノシド、カスカラサグラダ)を配合

浣腸・坐薬
メンソレータム フレディCCクリーム 10g
第2類医薬品
272円(税込)
使用しやすいロングノズル。首が動いて曲がるソフト容器


下痢に ~下痢止め(例)~

海外旅行の下痢原因に、細菌、ウイルス、寄生虫等があります。感染性ではない下痢の原因に、油の多い食事、香辛料、硬水、ストレス等があります。下痢の際は、何より重要な水と電解質を十分に補給します。(脱水症の飲み水として、経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)が最適です。下痢止めの成分は、腸の動きを抑えるロートエキスやロペラミド塩酸塩、大腸の過剰な動きを正常化、腸管内の水分量の調整、腸内静菌作用のある日局モクレオソート、オウバクから抽出した下痢止めのベルベリン塩化物水和物等があります。腸の動きを抑える下痢止め薬(ロートエキス、ロペラミド塩酸塩)は、感染性の細菌等を腸にとどめてしまい、良くありません。下痢止めの使用は、十分な注意が必要です。激しい下痢、血便、粘液便、熱を伴う下痢等がみられる場合は、医師と相談する等適切に対応します。子供や高齢者は脱水症になりやすいので、特に注意が必要です。
整腸薬・乳酸菌製剤 (OTC医薬品・指定医薬部外品)
セイロガン糖衣A(携帯用)イエロー 24錠
第2類医薬品
778円(税込)
飲みやすい白い錠剤。旅行、出張などの外出に便利な携帯容器


乗物酔いに ~乗物酔い止め(例)~

海外旅行では、長時間乗物に揺られる場合もあり、普段は酔わない人でも睡眠不足等から、酔ってしまうことがあります。快適に過ごすため、乗物酔い止め対策は大切です。吐き気を抑える成分には、抗ヒスタミン成分、副交感神経遮断成分(スコポラミン)、抗めまい(抗コリン)成分等があります。総合かぜ薬、抗ヒスタミン成分を含む薬等、他の薬との飲み合わせ、使用してはいけない人等の注意事項を確認します。こどもから大人まで使える薬は、家族の常備薬として便利です。こども用は好みの味、対象年齢などを確認します。他に水なしで飲める、効果持続時間が長い、酔ってからでも効果が期待できる等があります。合ったものを選びます。
大人用(15才以上)
フェミニーナ 腟カンジダ錠 6錠
第2類医薬品
648円(税込)
乗る30分前の服用により、乗りもの酔い症状が予防できます。

こども用(15才未満のみ)*年齢はご確認ください
オキナゾールL100 6錠
第2類医薬品
518円(税込)
子供用の乗りもの酔い薬です。酔う心配がある場合、乗る30分前の服用により、乗りもの酔い症状が予防できます。

こどもから大人まで使える
メンソレータム フレディCCクリーム 10g
第2類医薬品
864円(税込)
ラムネのようにフワッと溶ける。家族みんな(5才以上)で服用できる乗りもの酔い薬



次回、虫刺されなど外用薬を中心にお話します。
(参考)
1) デング熱(一般社団法人日本旅行医学会サイト)
2)デング熱予防マニュアル(厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等振興・再感染症研究事業)