目にちょっとした異常を感じた時に市販の目薬は手軽に使えて便利なため、多くの人が使用しています。一言に目薬と言っても市販の目薬はかゆみの目薬、ものもらいの目薬、ドライアイの目薬、疲れ目の目薬と大きく4種類に分けられ、それぞれ効果が異なります。セルフメディケーションとして市販の目薬を上手に使用できるように、今回は目薬についてお話しします。

目のかゆみの多くは花粉やハウスダスト（ダニ）などによるアレルギー反応が関係しています。両目ともに生じ、鼻炎なども同時に起こることが多い症状です。
目がかゆいときは、角膜に傷がついたり雑菌が入るなどの危険性があるため手でこすったりしてはいけません。アレルギーの症状を引き起こすヒスタミンという体内物質をブロックして目のかゆみを鎮める抗ヒスタミン作用のあるアレルギー用目薬を選びましょう。
医療用医薬品からスイッチされたケトチフェンフマル酸塩、トラニラスト、アシタザノラスト、クロモグリク酸ナトリウムといった成分の目薬がおすすめです。

目が赤い、ゴロゴロする、目やにが出る、まぶたの縁や裏側の一部が化膿して痛い…などの場合は細菌感染が考えられますので、抗菌性の目薬を選びましょう。
医療用の目薬には様々な種類があるのですが、市販の抗菌目薬は有効成分がスルファメトキサゾールナトリウムという古くから使われているサルファ剤という抗菌薬になります。市販の抗菌目薬は全てこの成分が入っていますので、サルファ剤にアレルギーのある方はご注意ください。パッケージに「ものもらいに」と書かれているものがこれに当たります。
ものもらいの目薬は長期間使うものではありませんし、細菌により炎症をおこして敏感になった結膜に刺激を与えない為にも防腐剤無添加の１回使いきりタイプになっているものがおすすめです。子どもから使えますので、結膜炎やものもらいに常備しておくと便利です。

涙は目の表面をおおって目を守るバリアのような働きをしていますが、ドライアイはこの涙の量が減って目が乾燥したり、涙の質が悪くなって十分なバリア機能を果たせなくなることにより、目の表面に傷が生じたり目の表面の粘膜に異常が起きてデコボコした状態になる病気です。
ドライアイになると、目が乾いている感じはもちろんですが、ものがかすんで見えたり目がショボショボする、ゴロゴロする、目が疲れるといった症状が現れてきます。ドライアイを放置しておくと、症状が悪化するだけでなく目の傷から細菌に感染するなどの合併症を起こす可能性があります。目がショボショボし始めたらドライアイを疑って早めの手当てをしましょう。

 手当ての基本は目薬で目を潤すことです。減ってしまった涙に限りなく近い組成の目薬を使用することで、涙の代わりに目のバリア機能を果たしてくれます。ドライアイ用目薬の定番は涙に近い性質をもった人口涙液と呼ばれる製剤で、防腐剤フリー、清涼剤フリーのものです。涙と同じ浸透圧に調整されているのでしみることがなく、防腐剤無添加なのでコンタクトレンズを装着したまま点眼できます。通常、目薬は1滴で充分な効果が得られますが、ドライアイ用の目薬は目の表面に行き渡らせて効果を得るので少し多めの2～3滴を使用すると良いでしょう。