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セルフメディケーションコラム
2015.11.30更新
痔とは肛門や肛門周辺に起こる病気の総称で、代表的なものにいぼ状の腫れができる「いぼ痔(痔核)」、肛門の皮膚が切れる「切れ痔(裂肛)」、肛門に膿のトンネルができる「痔ろう」の3種類があります。その中で一番多いのは「いぼ痔」で、痔の患者の半数を占めます。3人に1人の割合で痔に悩んでいる人がいると言われるほど身近な病気ですが、人に相談しにくい病気でもあります。軽い場合にはセルフメディケーションで治すことができますので、今回は痔の手当てに使えるお薬をご紹介します。
痔の薬には、軟膏や注入用軟膏、坐薬などの
「外用薬」と飲んで治す
「内服薬」があり、一般的には「外用薬」が主流です。軟膏は主として肛門の外側の炎症に適し、坐薬は肛門内の炎症に用います。内部が切れている場合などは
注入用軟膏と表示している剤形がよいでしょう。
軟膏は患部に直接塗るか、またはガーゼなどにのばして患部に貼って使います。刺激が少ない油脂性基剤が傷ついた患部を保護しつつ、有効成分が炎症を鎮めます。注入用軟膏は1回使いきりの容器に入っているので、肛門内部の痔には注入、肛門の外側・肛門付近の痔には塗布して使用できます。
坐薬は肛門内に挿入して使います。体温ですばやく溶けて、有効成分がすばやく拡がるように設計されています。就寝前に坐薬を使用すると、薬が溶けて肛門の周りをコーティングし、翌朝の排便時に潤滑油の役割を果して排便時の痛みを和らげてくれますので、朝排便のある人は就寝前の使用がおすすめです。
「外用薬」はしっかり手を洗ってから使用してください。また、10日間程度使用しても症状がよくならないときは病院を受診しましょう。
痔では肛門周辺に炎症が起こり腫れや痛みが出ていますので、治療には消炎作用を持つ成分が必要です。薬としては消炎作用の強いステロイド剤を含むものと含まないものに分けられます。ステロイド剤というと恐いと言う人もいますが、指示どおり使う限り安全ですし、炎症を抑えるのに優れた効果を発揮します。ただし、患部が化膿している場合にはかえって症状を悪化させてしまうことがあるためステロイド剤は使えませんので、ステロイド剤を含まない物が適切です。ご自分の症状からどの薬がふさわしいか選びましょう。また、痔は炎症の他に痛みやかゆみを伴うことが多いため、多くの薬には局所麻酔薬やかゆみ止めとしての抗ヒスタミン薬が配合されています。患部では血管が切れて出血していることがありますので、止血剤として血管収縮薬が配合されているものもあります。各社が工夫した配合製品を出していますので、症状に合わせて選ぶとよいでしょう。
●配合される代表的な成分
分類 |
作用 |
代表的な成分 |
抗炎症成分 |
炎症を鎮める |
【ステロイド】プレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル 【非ステロイド】グリチルレチン酸、リゾチーム塩酸塩 |
局所麻酔薬 |
痛みやかゆみをやわらげる |
リドカイン、ジブカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル |
抗ヒスタミ薬 |
かゆみを鎮める |
ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩 |
血管収縮薬 |
出血を抑える |
塩酸テトラヒドロゾリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩 |
殺菌消毒薬 |
細菌による感染を防ぐ |
クロルへキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物水和物 |
組織修復成分 |
傷口の修復を助ける |
アラントイン、アルミニウム・クロルヒドロキシアラントイネート |
ビタミン類 |
血行の改善、傷の修復を促す |
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE酢酸エステル) |
1,490円(税込)
【ステロイド含有】やわらかい基剤の軟膏で、患部に滑らかに塗ることができます。
1,188円(税込)
【ステロイド含有】しっかり患部につくのにベタつかないから下着にも付着しにくい!
1,361円(税込)
【ステロイド含有】使いやすさを考え、なめらかですべりのよい油脂性基剤を使用。
972円(税込)
【ステロイド含有】肛門のぶり返すかゆみ・痛みに。べたつきの少ない使用感です。
1,069円(税込)
【非ステロイド】刺激が少なく、油脂性基剤が傷ついた患部を保護します。
1,944円(税込)
【ステロイド含有】約3cmの長いノズルと、なめらかな先端部で楽に挿入できます。
1,750円(税込)
【ステロイド含有】患部を傷つけないように、容器先端(ノズル)を丸くしています。
1,404円(税込)
【ステロイド含有】注入部の太さはわずか6ミリと細く、おしりに負担をかけずに挿入できる。
1,210円(税込)
【非ステロイド】プチっと押しやすく薬剤残りの少ない容器。穏やかな効き目を求める方に!
1,458円(税込)
【ステロイド含有】挿入しやすい油脂性基剤が傷ついた患部を保護し、スムーズな排便へ。
1,296円(税込)
【ステロイド含有】溶けやすく、スルッと入れやすいミニサイズ。
1,166円(税込)
【非ステロイド】体温ですみやかに溶ける油脂性基剤を用いて患部に直接作用します。
漢方薬にも痔に効果のあるものがあります。漢方では痔は血流が滞っていることで種々の障害を来している状態と考えます。そのため、漢方薬では体質改善と同時にうっ血や炎症を取り除くことで症状を改善していきます。痔に使われる代表的な漢方薬に
「乙字湯(おつじとう)」があります。乙字湯は、原南陽(はらなんよう)という日本の漢方医が考案した漢方薬で、肛門周辺の炎症を和らげたり、血流を改善させたりする働きがあり、大便が硬く便秘ぎみの人の「いぼ痔」、「切れ痔」に用いらます。体質としては体力が充実している人に用いられる漢方薬で、体力の少ない虚弱体質の人には向きません。乙字湯に含まれる当帰(トウキ)や柴胡(サイコ)、黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)には炎症を鎮める働きがあり、升麻(ショウマ)は肛門部の潰瘍を抑えることで痔核などに作用し、大黄(ダイオウ)には便通を改善させる働きがありますます。
漢方薬は一般的に吸収を良くするために食前または食間の空腹時に服用しますが、食前や食間に服用すると胸がむかむかするような場合は、食後の服用でも大丈夫です。
1,458円(税込)
大便がかたく、便秘傾向のある方の便秘を改善しながら痔の症状に効きます!
4,320円(税込)
大便がかたく便秘ぎみの方の「いぼ痔」、「きれ痔」に。
痔に使われる漢方の外用薬に「紫雲膏(しうんこう)」があります。紫雲膏は江戸時代の華岡青洲(はなおかせいしゅう)によって作られた漢方薬で、皮膚の傷を素早く回復させる作用があり、痔核による疼痛、肛門裂傷に使われます。肉芽形成を促す紫根(シコン)、血行促進作用がある当帰(トウキ)、保湿作用のある胡麻油(ゴマユ)、蜜蝋(ミツロウ)、豚脂(トンシ)の 5種類の生薬から構成されています。
患部を清潔にした後に1日数回適量を患部へ直接塗ります。痔の他にもひびわれや外傷、やけどなど多くの場面で活用されますが、じゅくじゅくしている傷口や分泌物が多くて化膿している状態に対しては、症状の悪化を招く恐れがあるため適しません。また、紫雲膏は紫色をした特有の軟膏であるため、衣服への着色には注意しなければいけません。豚脂を使っているので特有の臭いがあります。
1,058円(税込)
江戸時代の名医“華岡青洲”創案の軟膏。今日まで受け継がれて来た外用の漢方薬。
1,782円(税込)
漢方処方にしたがって生薬を配合し製した軟膏です。特異な色と芳香があります。
「便に血が混じっていたら、大きな病気が隠れているシグナル」といわれますが、排便時に出血があった場合に疑われるのは大腸がんやポリープです。痔のある人は普段血が出ることに慣れてしまっていて病気を見逃し易いということがありますので、出血があった場合には自分で判断しないで一度は医師のチェックを受けましょう。
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