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セルフメディケーションコラム
2015.3.27更新
生活習慣病は偏った食生活や運動不足、ストレス、喫煙など、毎日の好ましくない生活習慣の積み重ねによって引き起こされます。動脈硬化症・高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満が代表的なもので、もちろん単独でも恐ろしい病気ですが、重複すると命にかかわる危険が増すのです。その中でも今回は
「脂質異常症」についてお話しします。
「脂質異常症」とはコレステロールや中性脂肪などの脂質(油)が血液中に増加した状態のことで、以前は「高脂血症」と呼ばれていました。 コレステロールは、体内の細胞を作ったり、ホルモンの原料となったり、栄養素の消化吸収にかかわるなど人の体には欠かせない成分で、その量は通常、体の中でバランスがとられています。しかし食事から脂肪分を多量に摂り続けると、このバランスが崩れてしまいます。
「脂質異常症」にはほとんど自覚症状がありませんが、そのまま放っておくと増えすぎたコレステロールが血管の壁に付着し、血管を詰まらせる一因となります。その結果、心筋梗塞や脳卒中などのさまざまな病気を引き起こすことになるのです。高血圧、痛風、糖尿病の人や、その危険性が高いと診断されている人は
「脂質異常症」にもなりやすいと言われています。近年では若い人にも
「脂質異常症」が疑われる人が増えてきており、20代男性で4~5人に1人とも言われていますので、早いうちから意識することが大切です。また、女性は女性ホルモンであるエストロゲンの影響でコレステロールはちょうど良い値に保たれていますが、閉経するとこのエストロゲンが減少するため善玉コレステロール(HDL)の減少、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が上昇しますので、閉経後に特に注意が必要です。
健康診断でコレステロール値や中性脂肪等の値が高めだと指摘されたら、改善するためにどのよう手当てができるでしょうか。もちろん治療が必要と指摘された場合はすぐに受診し、治療を始めることが大切です。なかには肝臓や甲状腺疾患などが影響していることもあります。
「脂質異常症」の主な原因は食生活ですので、まずは食生活の見直しをしましょう。肉類、乳製品など動物性脂肪の多い食品や卵などのコレステロールを多く含む食品の摂り過ぎ、食べ過ぎによる慢性的なカロリー過多などで血液中の脂質が増えてしまいます。「コレステロール」には動脈硬化を進行させるLDL(悪玉)コレステロールと、それを阻止するHDL(善玉)コレステロールがありますが、運動不足、肥満、喫煙などによってHDL (善玉)コレステロールが減ってしまうことがわかっていますので、これらの生活習慣にも注意が必要です。
食事においては下記の点に気を付けると良いでしょう。
青魚に多くふくまれている不飽和脂肪酸には、LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。その代表がEPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)です。
食物繊維には、コレステロールや中性脂肪が腸内で吸収されるのを妨げる働きがあります。ビタミンC、EにはLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する働きがあることがわかっています。ビタミンCとEは一緒に摂るとより効果的です。
適量のアルコールはHDL(善玉)コレステロールを増やす効果がありますが、飲み過ぎると中性脂肪を増やす原因になります。それだけでなくアルコールを飲むと、ついついつまみなどでカロリーオーバーにつながります。適量とはビールなら大びん1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までです。
一般用医薬品の活用
食事の改善や運動等の生活習慣の見直しでコレステロール値がコントロールできれば問題無いのですが、これらに取り組んでもコレステロール値が下がらない場合には一般用医薬品を試してみるのもよいでしょう。血液中のコレステロール値を正常に近付ける作用を持つ主な成分をご紹介します。
パンテチンはビタミンB群の仲間であるパントテン酸の誘導体で、脂質代謝を改善し血中の総コレステロールを減少させる働きがあります。
ソイステロールは大豆油から脂肪酸を除いたもので、コレステロールの腸管からの吸収を阻害し体外への排泄を促進します。パンテチンとソイステロールを一緒に摂取すると相乗効果が期待できます。
ビタミンEは、血管に障害を与える過酸化脂質の増加を抑え、末梢の血行を良くする作用があります。
リボフラビン酪酸エステルは血中の脂質が余分に作られることを抑え、血中の余分な脂質を体外へ排出する働きがあります。一般用医薬品ではこれらの成分が組み合わされているものもあります。
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医療用医薬品を含め、他の薬を飲んでいる場合には必ず薬剤師に相談してください。また、食事、運動、一般用医薬品でコレステロール値等が下がらない場合には、早目に受診することをおすすめします。
特定保健用食品(トクホ)の活用
「コレステロールが高めの方」を対象とした特定保健用食品(トクホ)の成分には茶カテキン、サイリウム種皮由来の食物繊維、キトサンなど様々あります。腸内でコレステロールと結合し、コレステロールが吸収されるのを抑え血清コレステロールを低下させることが確認されています。又、血中の中性脂肪値を低下させる作用があるとして注目されているトクホ成分に「ベータコングリシニン」があります。これは大豆に含まれるタンパク成分で、肝臓内で中性脂肪の原料となる遊離脂肪酸を減らすことで中性脂肪や内臓脂肪を減らすことがわかっています。コレステロールや中性脂肪が気になる人は普段の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
トクホを使用する際には1日の目安量や摂取の方法などを必ず確認し、守るようにしてください。多量に摂取することによって予防の効果が高くなったり、疾病が治るわけではありませんし、一方で過剰摂取による害が生じることもあります。また、医師による治療を受けている人でトクホを使ってみたいという場合には、まずは薬剤師にご相談ください。
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