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2019.5.29

第44回 たんぱく質制限は「質」が大事

腎臓の機能が低下している場合、医師から肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質の摂取を控えるように指示が出ることがあります。単純にたんぱく質を多く含む食品の摂取量を減らせば良いというわけではなく、栄養不足にならないように必要なたんぱく質・エネルギーはしっかり摂らなければなりません。
医師

たんぱく質とはどのようなもの?

たんぱく質は三大栄養素の一つで、体の筋肉や血液、髪の毛、皮膚、ホルモンなどを構成している体に不可欠な栄養素です。
約20種類のアミノ酸からなり、そのうち9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)は、「必須アミノ酸」といわれ、体内では合成することができないため食品から摂る必要があります。
一方、「非必須アミノ酸」という 11種類(アルギニン・グリシン・アラニン・セリン・チロシン・システイン・アスパラギン・グルタミン・プロリン・アスパラギン酸・グルタミン酸)のアミノ酸は、体内で合成され食品からも摂ることができます。
「良質のたんぱく質」という言葉を耳にすることがあると思いますが、これらの必須アミノ酸をバランスよく含んだ食品のことを指し、必須アミノ酸の含有バランスを評価する指標をアミノ酸スコアといいます。高いほど、筋肉や内臓を構成するたんぱく質(体たんぱく質)の合成に効率よく使われます。
アミノ酸スコア一覧

アミノ酸スコアとは?

アミノ酸スコアは、9枚の板でできた桶 (9種類の必須アミノ酸)の水の量で説明できます。板それぞれが必須アミノ酸の含有比率と考えます。(図1)
左の桶のように全ての必須アミノ酸が豊富に含まれていると、板も長く桶にたくさんの水がたまり、アミノ酸スコアも高くなります。これらは効率よく体たんぱく質の合成に使われます。スコアが100に近い数値ほど理想的です。
右の桶では、たっぷり水を入れても1枚でも短い板があるとそこから水が漏れ出てしまいます。必須アミノ酸のうち一つでも含有量が少ないアミノ酸があると、アミノ酸スコア(桶にたまる水の量)は低くなり、体たんぱく質の合成に使われる量も少なくなります。
図1

漏れた水のゆくえは?

例えば右の桶では、リジンの板が短く水が漏れ出ています。この漏れた水は体たんぱく質の合成には使われず、代謝後に窒素化合物などの老廃物になります。
腎機能が低下している方の場合、この老廃物は腎臓から排泄されず体内に蓄積されるようになり、腎機能をさらに悪化させたり尿毒症を起こします。そのため、なるべく老廃物が体内に蓄積しないような食事を摂ることが大切です。

アミノ酸スコアの低い食品はどう摂る?

足りないアミノ酸を別の食材で補う

アミノ酸スコアは食品単体の評価であるため、アミノ酸スコアが低い食品であっても他の食品と一緒に摂ることでアミノ酸スコアを改善することができます。
例えば、精白米は「リジン」、食パンは「リジン」・「スレオニン」・「トリプトファン」という必須アミノ酸の含有量が低いためアミノ酸スコアは低いです。このようなアミノ酸スコアの低い食品を食べるときは、魚・肉・卵・大豆製品・乳製品などのアミノ酸スコアの高い食品を組み合わせると不足を補うことができます。

アミノ酸スコアの低いたんぱく質の摂取量を減らす

アミノ酸スコアの低いたんぱく質を摂ると、老廃物が多く作られます。アミノ酸スコアが低めの米・パン・麺などは、低たんぱく質食品に替えることで質の悪いたんぱく質の摂取量を減らせます。そして主食のたんぱく質を減らした分、良質なたんぱく質(アミノ酸スコアの高い食品)の摂取量を増やすことができます。
たんぱく質を控えめにと言われた場合は、肉や魚、大豆製品などの良質のたんぱく質をむやみに控えてしまうのではなく、低たんぱく質の商品を上手に利用してなるべく老廃物を貯め込まないようにすることが大切です。

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★おすすめレシピ★低たんぱくご飯を使った肉巻きおにぎり

アミノ酸スコアの高いお肉と、低たんぱくご飯を組み合わせて良質なたんぱく質がとれます。
油揚げの納豆包み焼き
<材料>2人分 <調理時間>15分
1人分あたりエネルギー:386kcal、塩分:1.4g、たんぱく質9.2g
豚ロース肉:4枚
青じそ:4枚
小麦粉:適量
低たんぱくご飯:180g※炊飯済みのトレータイプでも可
【A】
減塩しょうゆ:大さじ2
酒:大さじ3
砂糖:大さじ2
にんにく(すりおろし):適宜
油:大さじ1

作り方

  1. 豚ロース肉を【A】に5分程度漬けて味をしみこませる。
  2. 低たんぱくご飯を約50gごとに俵型に握る。
  3. 1.の豚ロース肉の上に青じそを置き、2.のご飯を置いて巻き、肉の閉じたところに小麦粉をつけて止める。
  4. フライパンに油をひき、3.を入れてまんべんなく焼きつけて、一度取り出す。
  5. フライパンに【A】を入れて煮詰め、とろっとしてきたら4.を再び戻し、からめる。
  6. 器に盛り付ける。