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管理栄養士がお届けする食の健康コラム

2015.5.15更新

Vol.17 がん予防のために…

平成26年の死亡原因の第1位は、がんです。日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています。また、がんが怖いのは、初期にはほとんど自覚症状がないということです。そのため健診などで発見されにくく、発見された場合にはすでに進行していたということも少なくありません。がんの危険因子には遺伝要因もありますが、喫煙 、多量の飲酒、塩分過剰、野菜・果物不足などの生活習慣や食生活の欧米化などが影響していることなどが考えられます。今回は、推奨できる科学的根拠に基づいた日本人のためのがん予防法について書かれている「がんを防ぐための新12か条」(財団法人 がん研究振興財団)をご紹介します。

がんを防ぐための新12か条(公益財団法人がん研究振興財団)

1条 たばこは吸わない
2条 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
― 目標 ―
たばこを吸っている人は禁煙をしましょう。吸わない人も他人のたばこの煙をできるだけ避けましょう。
日本の研究では、がんで死亡した人のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因だと考えられています。特に肺がんと喫煙との関連は強く、肺がんで死亡した人のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因とされています。喫煙は、がんの予防が可能です。そしてがんだけでなく、冠動脈心疾患や脳卒中など循環器の病気、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器の病気の原因にもなるため、なるべく禁煙するようにしましょう。
3条 お酒はほどほどに
― 目標 ―
飲む場合は1日当たりアルコール量に換算して約23g 程度まで(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/ 3程度)、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。

この量は、がん予防だけではなく、1日のアルコール適正飲酒量でもあります。毎日飲むことは肝臓に負担をかけてしまうため、週に2日はお酒を飲まない休肝日を設けて、肝臓を休ませるようにしましょう。
4条 バランスのとれた食生活を
バランスのとれた栄養とは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを、毎日まんべんなく適量を摂ることです。食品の中には、がんのリスクを上げる可能性がある成分や、調理・保存の過程で生成される化学物質などがあります。しかしバランスよく様々な食品を摂ることによって集中的にそれを摂取することを回避することができます。
◆発がん物質◆

食品中に含まれ、発がん性を疑われている物質には、海外から輸入される食品に混入することがある、カビ毒の一種アフラトキシンB1、肉や魚などの焦げに含まれるヘテロサイクリックアミン、じゃがいもなど炭水化物を多く含む食品を油であげるなど高温で加熱した場合に生成されるアクリルアミドなどがあります。
これらの物質を日常的に摂取する量は微量ですが、なるべく減らすように心がけましょう。
5条 塩辛い食品は控えめに
― 目標 ―
食塩は1日当たり男性9g、女性7. 5g 未満、特に、高塩分食品(たとえば塩辛、練りうになど)は週に1回以内に控えましょう。
多目的コホート研究(追跡研究)では、食塩摂取量の多い男性で胃がんのリスクが高く、また塩分濃度の高いいくら、塩辛、練りうになどをよく食べるグループで、男女とも胃がんリスクが高いという結果を報告しています(Am J Clin Nutr. 2010年91巻)。また胃がんの原因は、塩分の摂り過ぎ以外にヘリコバクター・ピロリ菌や喫煙なども知られており、ピロリ菌の陽性者では、胃がんリスクが5倍だといわれています。食塩を控えることは、胃がん予防だけでなく高血圧予防にもつながるため、控えめにしましょう。
6条 野菜や果物は豊富に
― 目標 ―
野菜・果物を1日400g(たとえば野菜を小鉢で5皿、果物1皿くらい)はとりましょう。
― 目標 ―
飲食物を熱い状態でとらないようにしましょう。
世界がん研究基金/米国がん研究機構では、口腔、食道、胃などの部位において、野菜・果物が“ほぼ確実”にリスクを低下するという報告があります。また日本人を対象とした研究では、野菜や果物をより多く摂取する人は、胃がんの発症リスクが低下する傾向がみられましたが、明確な結論はまだありません。がんのリスクが低下すると注目されているのは、カロテノイド、ベータカロテン、ビタミンC、フラボノイド、リコペン、食物繊維などの成分ですが、これらがどのように作用し働いているのかは証明されていないようです。しかし野菜や果物などの抗がん作用のあるミネラルやビタミンなどの栄養素が豊富な食材を摂ることで、免疫力が高くなる、病気になりにくくなるといったよい点がありますので、積極的に摂りましょう。
7条 適度に運動
― 目標 ―
たとえば、ほとんど座って仕事をしている人なら、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な身体活動に加えて、週に1回程度は活発な運動(60分程度の早歩きや30分程度のランニングなど)を加えましょう。
国立がん研究センターの多目的コホート研究で、1日の身体活動量(運動、仕事や家事などによる活動も含める)が多い人ほど、がん全体の発症リスクが低いことがわかっています。
散歩、階段を使う、買いものに行った際は建物から離れた駐車場に止める、遠くのスーパーやコンビニに行くなど、毎日よく体を動かすことが、がん予防につながります。1日合計1時間くらいの運動をすることがおすすめです。
8条 適切な体重維持
― 目標 ―
中高年期男性のBMI(体重kg/身長m2)で21~27、中高年期女性では19~25の範囲内になるように体重をコントロールしましょう。
日本人の場合、BMI値が高すぎても低すぎても、がんの発症リスクが高くなることが報告されています。とくにBMI値が19未満では、がんの発症率は高くなっています。またBMI値が25以上でも、糖尿病や心疾患の発症リスクは高くなるため注意して体重コントロールをしましょう。
9条 ウイルスや細菌の感染予防と治療
― 目標 ―
地域の保健所や医療機関で、1度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。
10条 定期的ながん検診を
― 目標 ―
1年または2年に1回定期的に検診を受けましょう。検診は早期発見に有効で、前がん状態も発見できます。
11条 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
― 目標 ―
やせる、顔色が悪い、貧血がある、下血やおりものがある、咳が続く、食欲がない、などの症状に気がついたら、かかりつけ医などを受診しましょう。
12条 正しいがん情報でがんを知ることから
― 目標 ―
科学的根拠に基づくがん情報を得て、あなたに合ったがんの予防法を身につけましょう。
たとえば、「○○を食べて、がんが治った!」と宣伝している食品や健康食品を摂っていたことで、さらに悪化した、血液検査のデータが悪化し手術ができなくなったということも実際にあります。根拠の乏しい方法より正しい情報をキャッチして取り入れるようにしましょう。
がん予防のためには、規則正しい生活習慣やバランスのとれた食生活をし、そしておかしいと思ったら、すぐに検査をすることが大切です。ちまたにあふれる根拠のない情報に流されないよう、困った時はかかりつけの医師など専門家へ相談をしましょう。
玄米ときのこのリゾット
玄米(フィチン酸やビタミンE)、まいたけ(グルカン)、にんにく(セレン)、オリーブオイル(ポリフェノール)はがん予防に効果がある食材といわれています。これらを使用したにんにくときのこの旨味が美味しいリゾットです。
玄米ときのこのリゾット
【材料】2~3人分【調理時間】約50分
玄米:1カップ(洗って水気をきっておく)
オリーブオイル:大さじ1
にんにく:1/2個
白ワイン:100cc
玉ねぎ:1/2個
きのこ(まいたけ、ぶなしめじなど):量はお好みで
コンソメ:1個
水:500cc
塩・こしょう:適量

【つくり方】
  1. にんにく、玉ねぎ、きのこは粗いみじん切りにしておく。
  2. フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにくを炒める。
  3. 香りがたってきたら、玉ねぎときのこを加えて炒める。
  4. 玄米を入れ、少し透明になるまで、約5分炒める。
  5. 白ワインを入れて、アルコールをとばす。
  6. コンソメを溶かした水を玄米がひたひたになるくらい入れ、ふたをして火を通す。汁気が少なくなったらコンソメを溶かした水を追加していく。(約20~30分)
  7. 塩・こしょうで味を調え、汁気がなくなったらできあがり!

★がんを防ぐためのオススメ商品!

ニコチネル スペアミント 10個
指定第2類医薬品
1,008円(税込)
徐々に使用量を減らすことで、約3ヵ月で無理のない禁煙へ導きます。

ジャネフ 減塩のり佃煮(5g×40個)
1,080円(税込)
ナトリウム、リン、カリウムを50%カット、食物繊維を2倍に!減塩タイプの佃煮です。


パーフェクトプラス 素材ぎっしり ダブルベリーバー(35g)
140円(税込)
不足しがちな食物繊維、鉄分、10種のビタミンが補給できる栄養調整食品です。

テルモ活動量計 MT-KT01ZZXSL(シルバー)
5,378円(税込)
身につけているだけで1日の総消費カロリーや消費カロリーなどをチェックできます。