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管理栄養士がお届けする介護コラム「栄養と食事」近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。 このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。 食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。

2015.7.17更新

Vol.18 摂食嚥下障害のスクリーニング

摂食嚥下機能が正常であるかどうかを簡単に判定する方法を、スクリーニングテストといいます。
これは、摂食・嚥下障害の疑いがあるかないかを振り分けるために使われます。このスクリーニングを行うために使われている質問紙をご紹介しましょう。
多くの病院や介護施設、訪問看護ステーションなどで使われていますが、家庭でも簡単にスクリーニングすることができます。

摂食・嚥下障害の質問紙(聖隷式嚥下質問紙)

聖隷式嚥下質問紙は、脳血管障害慢性期患者を対象に、嚥下障害をスクリーニングするために開発された尺度です。
15項目について質問があり、回答はA・B・Cで該当するものに○をつけていきます。
Aに1つでも○があれば、「嚥下障害あり」または「疑う」と判断されます。

嚥下障害リスク評価尺度改訂版

嚥下障害リスク評価尺度改訂版は、地域で生活する高齢者を対象に、嚥下障害リスクを自覚症状からスクリーニングするために開発された尺度です。
咽頭期、誤嚥、準備・口腔期、食道期に分けた23項目から構成され、「いつもある」「時々ある」「まれにある」「ほとんどない」の4段階で評価されます。

EAT-10 (イート・テン)

もともと海外で開発された質問紙であり、日本語に翻訳されました。
10項目の質問で構成され、それぞれ5段階(0点:問題なし 4点:ひどく問題)で回答し、合計点数が40点中3点以上の場合、嚥下の効率や安全性について専門医に相談が必要と判断されます。

これらは、摂食・嚥下障害の疑いがあるかどうかの振り分けで、摂食・嚥下障害であるかを確定的に判定するためには、より精度の高いスクリーニングテストとして、改訂水飲みテスト、反復唾液嚥下テスト、フードテスト、嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)などによる精査が必要となる場合があります。

これらのスクリーニングは、病院以外の在宅の現場でも、医師や歯科医師、訪問看護師、言語聴覚士、理学療法士、歯科衛生士、栄養士などにより実施されます。(VFは在宅で実施することは難しいため、施設などと連携する体制をとっておくことが大切です)

改訂水飲みテスト
3mLの冷水を嚥下させて、誤嚥の有無を判定するテスト。
水が3mLと少量であり、水飲みテストよりリスクが少ないのが特長です。

反復唾液嚥下テスト
唾液を30秒間で何回飲み込めるかをみるテスト。
3回未満であれば陽性と判断されます。

フードテスト
ティースプーン1杯のプリンなどを嚥下させてその状態を観察するテスト。
嚥下反射と食物をのどに送りこむ機能を調べます。

嚥下内視鏡検査(VE)
鼻咽腔ファイバースコープを用いて行う嚥下機能評価方法。
内視鏡を鼻腔から咽頭まで挿入しその状態で食物や水分を摂取することで、誤嚥や咽頭残留の有無などを観察する方法です。

嚥下造影検査(VF)
造影剤を使用した嚥下機能評価方法。
誤嚥の有無を見るだけではなく、食物の形態、姿勢、食べ方などを調整することによって、いかに安全に嚥下をして誤嚥や咽頭の残留を減少させるかを調べます。

摂食・嚥下障害に早期に気づき、原因や要因を確認していくことが大切です。
もし簡単な質問紙でのテストを行い嚥下障害について該当するようであれば、医師などの専門家に相談し、食物の形態変更や姿勢の調整をして安全な経口摂取ができる方法を考えましょう。

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