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管理栄養士がお届けする、高齢者や介護に役立つ「栄養と食事コラム」です。近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。 このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。 食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。

2017.8.15

第34回 とろみ調整食品

とろみ
とろみ調整食品(とろみ剤)を聞いたことがありますか?とろみ調整食品とは、「飲み物や食べ物などが喉へゆっくり送り込まれるようにとろみをつけるためのもの」です。とろみ調整食品の利点として、加熱しなくてもとろみをつけることができる冷たいものにも温かいものにも溶ける短時間でとろみをつけることができる粘度を調整することができる、といったことがあげられます。

とろみ調整食品の種類と特徴

とろみ調整食品は、たくさんのメーカーから販売されていますが、主原料の種類によって、デンプン系、グアーガム系、キサンタンガム系の3種類に分類されます。それぞれの特徴と商品名を下記にまとめましたので参考にしてください。最近では、キサンタンガム系が主流になっています。
分類 デンプン系 グアーガム系 キサンタンガム系
主原料 デンプンやデキストリン
(デンプンを加工したもの)
デンプンと増粘多糖類
(グアーガムなど)
増粘多糖類
(キサンタンガム系)
動性 ぽたっと
とろっと するっと
特徴 ・エネルギー補給ができる
・粘度の安定が早い
・唾液により粘度が下がりやすい
・とろみをつけるのに使用する量が多い
・少量でとろみがつきやすく経済的
・唾液の影響は受けにくい
・多くのものにとろみがつけられる
・使用量が多くなると、べたつきが増す
・温度によって粘度の発現がばらつく
・透明感がある
・風味がよい
・とろみが安定するのが早い
・べたつきがない
商品 エンガード
ムースアップ
トロミアップエース
エンガード5
トロメリンHI
ハイトロミール
強力スカイスルー
スマイルヘルパーさん とろみ調整食品
新スルーキングi
スルーソフトリキッド
スルーマイルド
ソフティア
つるりんこQuickly
とろみエール
トロミーナ
とろみファイン
とろみ名人
トロメイク
エンガード
エンガードセレクト
つるりんこpowerful
トロメリンEX
ムースアップ
どの製品も、水、お茶、オレンジジュース、味噌汁、牛乳などに対してとろみをつけることは可能ですが、安定するまでに時間がかかることがあります。とろみがつきにくい場合は、とろみ剤の添加量を増やすなど、ちょうどよい粘度を知るために何回も試してみる必要があります。特にたんぱく質の多い牛乳や濃厚流動食は、使用量の目安がある程度わかっているとろみ剤の方が効率的です。

とろみ調整食品を上手に使うコツ

とろみ調整食品を上手に使うコツについてご紹介しましょう。
(1)粉末を入れるときは、おおよそではなく小さじのスプーンで正確にはかりましょう。とろみ剤の粘度は、0.5gの差でも大きく変わります。
とろみ剤はきちんと計量、すり切りで!
(2)スプーンで混ぜる際は、流れを止めないように混ぜましょう。また、小さい泡立て器や3~4本の箸を使うのもおすすめ。これらを使うときは、丸く混ぜるより縦・縦・横・横で混ぜましょう。
とろみ剤はきちんと計量、すり切りで!
(3)とろみ調整食品を入れて30秒から1分程度混ぜ、溶かす液によって2分~10分程度置いておき、再度混ぜてみましょう。置いておくと粉末が水を吸ってとろみがついてきます。
とろみ剤はきちんと計量、すり切りで!
(4)パンフレットや箱に記載されている使用量や溶かし方を確認しましょう。商品によって溶かし方は様々で、液体を混ぜながら粉末を入れるもの、乾いたコップに粉末を入れてから液体を入れて混ぜるなどがあります。
とろみ剤はきちんと計量、すり切りで!
とろみをつけすぎると、詰まらせたり誤嚥を起こしやすくなるため、その方の嚥下能力に合ったとろみをつけることが大切です。とろみ調整食品も、溶けやすい、とろみが安定しやすいなど商品が進化していますので、ぜひ色々試してみられることをおすすめします。

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