年齢を重ねるにつれて、物忘れや認知力・集中力などの低下に不安を感じるようになったという方は多いのではないでしょうか。何かを取りにそこの場所に行ったものの、何を取りに来たのか忘れてしまったり、前に会った人の名前が出てこなかったりというのは、たくさんの方が経験されていることでしょう。このようなことは、年齢による脳の老化だけでなく、ストレスや不規則な生活、運動不足や化学物質の影響などが考えられます。最近、脳の老化を防ぎ機能を保つ食品＝ブレインフードが話題になっています。認知症の予防対策としても注目されているものです。今回は、ブレインフードの食材をいくつかご紹介しましょう。

くるみには、多価不飽和脂肪酸（オメガ3）の「α-リノレン酸」が多く含まれています。これは、体内で合成することができない必須脂肪酸で、体内でDHA（ドコサヘキサエン酸）やEPA（エイコサペンタエン酸）に変化します。とくにDHAは、脳内に取り込まれ、伝達神経に作用し脳機能を向上させることで知られています。オメガ3脂肪酸の量は、くるみがダントツで多く、続いて最近話題のぺカンナッツ（ピーカンナッツ）です。
栄養が高いナッツ類は、一度にたくさん食べる必要はありません。１日２～３個までを目安にしましょう。

カカオに含まれる脳に良い成分は、フラボノイドの一種である苦味の元「フラバノール」です。血液循環をよくするため、ブドウ糖や酸素が脳に供給されやすくなり、神経細胞の生成が促され、認知力や記憶力が向上することがわかっています。
スプーン2～3杯のカカオの中に、緑茶や赤ワインよりもたくさんフラバノールが含まれています。チョコレートから摂る際は、ミルクチョコレートには入っていないので、ダークチョコレートを選びましょう。

青魚（さんま、いわし、さば、ぶり等）には、EPAとDHAが多く含まれています。DHAは、脳の細胞膜を形成し、EPAは血栓を防ぎ、血液中に含まれる脂質を減らす働きがあります。

脳を活性化する働きがあるのは、レシチンという成分です。レシチンは、脳や神経組織に多く存在している成分で、体内でアセチルコリンに変化して、学習能力や記憶力などの機能を改善するといわれています。卵の黄身にも含まれています。
またチロシンは、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌を高める作用があり、神経細胞を活性化させます。
そしてレシチンの一種で、脳内の細胞膜に多く存在する成分として、細胞膜を柔らかくし脳内の情報伝達をスムーズに行い注意力や判断力を向上させる、一番の注目成分であるホスファチジルセリンも含まれています。

鶏胸肉には、疲労回復作用のある「イミダペプチド」が含まれており、肉体疲労からの脳の機能低下を防ぎ、記憶力の改善効果があるといわれています。イミダペプチドは、鶏胸肉に最も多く、鶏もも肉、まぐろ、鮭などにも含まれています。

食物繊維が白米の約8倍でビタミンBやミネラルも豊富な玄米は、水に浸けていると数日で芽が出る、生命力の強い米です。「GABA」には、脳の興奮を抑え、ストレスを改善する効果があります。また脳の血流を良くして脳細胞の代謝を促します。玄米に含まれる「フェルラ酸」は、アルツハイマー型認知症の予防に効果があることが報告されています。

今回紹介したブレインフードは、玄米、納豆、味噌、魚・・・と、和食で定番の食材が多く見られます。朝食からしっかりごはんを食べて、脳によい栄養を補給して1日をスタートしましょう！ また、物忘れがひどくなってから気をつけるよりも、早め早めに意識して、無理のない範囲で日々の食事に取り入れてみましょう。