高齢者がかかりやすい疾病の一つに胃潰瘍があります。十二指腸潰瘍より胃潰瘍になりやすいのが高齢者の特徴です。

胃潰瘍の主な原因はピロリ菌感染と非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDS）の服用によるものです。ピロリ菌は、胃の粘膜に住む、長さ4マイクロメートルのらせん形の細菌で、感染部位が広がると潰瘍になります。しかしピロリ菌に感染しても、潰瘍になる人は、感染者の2～3％といわれています。また非ステロイド性消炎鎮痛薬は、かぜや腰痛、頭痛、血栓予防薬などに用いられる薬剤で、気づかないうちに潰瘍が進行してしまうこともあります。
胃潰瘍であらわれやすい症状には、食事中や食後にみぞおちあたりに痛みが生じたり、上腹部の膨満感や食欲不振、下血などがあります。

胃潰瘍になったら胃腸に負担がかかるような食事は控えましょう。たとえば、消化のよくない食材を摂ること、よくかまないで飲み込むこと、食べすぎることなどは、胃への負担を大きくすることになります。

栄養素の中で最も消化が早いのは、ごはんや麺、いもなどの糖質、次に魚・肉・卵などのたんぱく質、一番消化に時間がかかるのは、脂質（油）です。
野菜や海藻に多い食物繊維は胃腸で消化されないため、摂り過ぎると胃腸に負担をかけます。また脂肪の多い揚げ物などは胃の中で長く滞留するため、なるべく避けましょう。

食物繊維が多いものは避けるか、食材の繊維を断ち切るように切る、やわらかくなるまで煮るなどして、調理方法を工夫してみましょう。酢の物やかんきつ類は、刺激が強く胃液分泌が活発になり、胃に負担がかかります。また香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料などの刺激物も、胃に負担がかかり胃酸過多を促すため気をつけましょう。

1日に3回で摂ろうとして一度にたくさん食べると、弱っている胃に負担をかけてしまいます。また食事と食事の間があき過ぎて胃の中が空になると、痛みが生じることがあります。そのため1日4～5回に分けて少しづつ摂るようにしましょう。