ホーム  >  介護・栄養と食事コラム  >  介護コラム17[低栄養で強化したい栄養素]

管理栄養士がお届けする介護コラム「栄養と食事」近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。 このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。 食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。

2015.6.19更新

Vol.17 低栄養で強化したい栄養素

低栄養は、エネルギーやたんぱく質が必要量とれていない状態です。低栄養であるかどうかは、体重の変化や血清アルブミン値などによって判断されます。(『Vol.8 低栄養』を参照)

体重の変化は、1か月~6か月の体重減少率の数値により、どの程度かわかります。血清アルブミン値は、3.5g/dl以下であれば低栄養の疑いがあり、エネルギーやたんぱく質などの栄養を強化する必要があります。アルブミン値が低ければ必ず低栄養というわけではありませんが、食事の摂取量が減れば、アルブミン値も低くなる傾向があります。
この食事の摂取量が減る原因となるのは、むせるなどの摂食嚥下障害や食べるという動作が難しくなるADL(日常生活動作)の低下、うつ病などの心理的な問題、認知症、寝たきりであるなど様々な理由が考えられます。

前回おおまかなポイントをお話しましたが、今回は食事や栄養補助食品などを利用して強化したい栄養素をご紹介します。低栄養の高齢者に欠乏しやすい栄養素ですので、参考にしてみてください。

カルシウム
高齢者は低カルシウム血症が多いのが現状です。それは、食事からのたんぱく質不足やリンが多く含まれる加工食品などの摂取でカルシウムの吸収率が下がっていること、カルシウムが多く含まれる乳製品や小魚・野菜の摂取不足、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取不足やその代謝を促すための日光浴の頻度が少ないこと、などが考えられます。カルシウムの吸収率は、乳製品>小魚>野菜の順です。

低栄養では、鉄欠乏性貧血が多くみられます。鉄分の不足により体中に酸素が行き渡らなくなり、貧血の他に、冷え症、疲労倦怠、息切れ、動悸などが起こりやすくなります。

亜鉛
高齢者にとって、最も不足しやすいミネラルといわれています。不足すると、味覚障害をはじめとして、皮膚炎、口内炎、下痢、脱毛、免疫能の低下などが現れます。たんぱく質の多い食品やビタミンCの多い食品と一緒に摂ると、亜鉛の吸収をよくしますが、清涼飲料水やインスタント食品などの加工食品によるリンの多量摂取は、亜鉛の吸収を妨げます。

マグネシウム
不足すると、疲れやすい、めまい、筋肉のけいれん、不整脈、心臓発作、記憶障害などがみられることがあります。骨粗しょう症予防のためには、カルシウムと同時にマグネシウムも摂取することが大事です。清涼飲料水や加工食品に含まれるリンの多量摂取は、マグネシウムの吸収を妨げます。

ビタミンE
体内でもっとも重要な抗酸化物質です。不足すると、体内が酸化されやすくなり、血流が悪くなって血管の狭窄や動脈硬化、心筋梗塞などを引き起こす原因となります。それほど不足しやすい栄養素ではありませんが高齢者には大切なビタミンです。

ビタミンC
生の果物や野菜の摂取が少なくなるために不足しやすくなります。不足すると免疫力が弱くなり感染症にかかりやすくなったり、発がんリスクが高くなります。ビタミンC単独のサプリメントを空腹時にとると、胃腸障害を起こすことがあるため注意しましょう。

食物繊維
高齢者に多い便秘は、食物繊維の摂取不足も一因です。便通改善だけでなく、コレステロールの低下や血糖値の上昇を抑制したり、がんや糖尿病などの発症率を下げるといわれています。食事量が少ないと不足しがちになるため、食物繊維粉末を味噌汁などに入れると簡単に摂取量を増やすことができます。

高齢者の食事量は少なくなるため、食事から栄養素を十分に摂ることは難しいかもしれません。
たとえば亜鉛を強化したゼリーやカルシウムを強化したプリンなど栄養補助食品も上手に利用してみましょう。


★低栄養時におすすめの商品も多数ご用意!

プロキュアZ みかん味(125mL)
216円(税込)
すっきりみかん味の栄養補給飲料です。たんぱく質・鉄・亜鉛を強化しました。

骨にカルシウムウエハース(18枚)
302円(税込)
1枚にカルシウム300mgを配合。サクッとした軽い食感が特長のバニラ味のウエハース。


ごまトウフィール(205g)
238円(税込)
1パックでたんぱく質10g以上、エネルギー約214kcalが摂取できます。

おいしいプロテインゼリー いちご(74g)
119円(税込)
飲み込みやすい物性のゼリーです。ミネラル5種・ビタミン11種が摂取できます。