管理栄養士がお届けする介護コラム「栄養と食事」近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。
このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。
食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。
2015.5.22更新
Vol.16 栄養補助食品の利用
国立長寿医療研究センターの研究では、在宅療養患者990名の37.4%が低栄養、35.2%が低栄養のおそれありで、合計72.7%が栄養状態に問題があるというデータが出ています。また、全体の3割が、噛めないために食べ物が限られているという問題を抱えていたそうです。低栄養の上に食べる形態が制限されてくると、十分に栄養を摂ることが難しくなります。
高齢者にとくに不足しがちなのが、エネルギーとたんぱく質、そしてビタミン・ミネラルです。しかしごはんなどの炭水化物や、肉や魚などのたんぱく質源はたくさん食べられないのが現状です。そこで、毎日の食事だけでは十分にとることができない栄養素を補うことができる「栄養補助食品」の利用がおすすめです。
在宅でも利用される「栄養補助食品」には、少量で多くのエネルギーやたんぱく質などを補うことができる濃厚流動食、水分補給のための水分補給ゼリー、デザート感覚で栄養素が補給できるゼリーやプリン、エネルギーやビタミン・ミネラルを強化した飲料、食事に混ぜるたんぱく質やカルシウム、鉄、食物繊維の粉末など多くの種類があります。たんぱく質を多く摂りたい方、逆に腎疾患をもっているためにたんぱく質を制限したい方、鉄分や亜鉛などとくに強化したい栄養素がある方など、その方に応じた食品を選ぶことができます。また最近は味のバラエティも豊富で、1つのゼリーでも5~6種類の風味があり、飽きがこないように工夫されています。食事からの栄養が十分ではない場合は、栄養補助食品を活用して補うようにしましょう。
今回は、デザート系の栄養補助食品をリストにしました。食事量が少なくたんぱく質を多く摂りたい場合は、たんぱく質が多めのものを、腎疾患がありたんぱく質の制限がある方は、たんぱく質が少ないものを、とにかくエネルギーを補いたい場合はエネルギーが多いものなど、それぞれの方の状態に合わせて選びましょう。
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