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管理栄養士がお届けする、高齢者や介護に役立つ「栄養と食事コラム」です。近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。 このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。 食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。

2016.5.27更新

Vol.28 半固形状栄養剤

経管栄養に使われている栄養剤には、「液体」と「半固形」の形状があります。液体は、牛乳のような状態で経口や細長い管を使用する経鼻経管で主に使用され、半固形は、シェイクのようにとろっとなった状態で、主に胃ろうからの投与に使用されています。

とくに胃ろうの場合、液体のようなさらっとした栄養剤を注入すると、胃に留まる時間が短く、また胃から逆流しやすいことから、誤嚥や下痢、嘔吐、そして皮膚トラブルの原因となることが多くあります。そのため、十分な粘度をもつ半固形状の栄養剤を使うことによって、胃に留まる時間が長くなり逆流しにくくなるなど、トラブルが起こりにくくなります。
少量を細い管から長時間かけて投与する液体の栄養剤よりも、半固形栄養剤は粘度も濃度も高いため、短時間で投与することができます。たとえば、液体の栄養剤であれば、通常1回200~400mLを60~90分かけて注入するところを、半固形状栄養剤では、約5~15分という短時間で300~600mLを注入することができます。(個人差あり)


半固形栄養剤の「粘度」を表すのに、cP(センチポアス)やmPa・S(ミリパスカルセック)という単位が用いられ、数値が高いほど粘度が高くドロドロとしています。
胃に長く留まることによって蠕動運動を起こし逆流しないようにするためには、20,000cP以上の粘度があれば、誤嚥性肺炎や下痢のリスクが減少するとされています。

胃ろうをしている場合の半固形状栄養剤を使うメリットと、そこから期待されることは下記のとおりです。

半固形と液体栄養剤の比較と期待されること

比較項目 半固形 液体
胃に留まる時間 一般の食品をとった時と同様、蠕動運動が起きて消化管運動が活発になるため胃に留まる時間が長くなるため、
・下痢の頻度の減少
・食後高血糖の改善
時間をかけず幽門を通過する
胃・食道逆流 流動性が少なく逆流しにくいため、
・誤嚥性肺炎の減少
・嘔吐の予防
流動性があり、噴門を通過しやすい
栄養剤漏れ 粘度がありるため漏れが軽減され、
・皮膚トラブルの減少
胃ろうのチューブを通すために開けた穴(瘻孔)の隙間から胃内容物が漏れたり、汚れやすい

以上の点で、おむつトラブルの際や一度に短時間で注入できるため介護者の負担を軽減することができ、また、液体を投与している間の長時間の座位が必要ない、じょくそうの予防・悪化を防ぐといったことにもつながります。
※半固形状栄養剤には、医薬品と食品の栄養剤があります。使用される場合は、医師や薬剤師、管理栄養士にご相談ください。

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