飲み薬は全身に作用するので、眼・鼻・皮膚などの症状をまとめて緩和してくれます。
しかし、それでも局所の強い症状は抑えきれない場合があります。
そんな時は特定の部位に使用する薬を併用すると良いでしょう。また、限られた部位にしか症状が出ない人は眠気などのリスクのある飲み薬よりも、局所薬を使いましょう。
目薬・点鼻薬・塗り薬も飲み薬と同様に、抗ヒスタミン薬を主軸として先述の補助成分で作用を強化しているものが多数あります。
ソフトコンタクトや酸素透過性ハードコンタクトを装着したまま目薬をさすと、レンズに目薬の成分や保存剤が吸着されることがありますので、コンタクト用と記載がある目薬以外はコンタクトを外して点眼し、点眼後10分程度経ってから装着するようにしてください。
虫に刺されると虫の毒がアレルゲンとなって刺された部位にアレルギー反応が起り、ヒスタミンが放出されて腫れやかゆみが出るので、虫刺されもアレルギーも機序は同じです。したがって使用する薬も抗ヒスタミン薬ということで共通しています。
アレルギーの場合は虫刺されに比べて広範囲にかゆみが出る場合が多いので、薬を選ぶ際には軟膏タイプよりも伸びの良いクリームやジェル、ローションタイプのものを選ぶと良いと思います。“メントール”や“カンフル”が配合されているとクールな使用感でかゆみの刺激をやわらげてくれます。
局所の症状が非常に重い場合には一時的にステロイドの薬を使用することをお勧めします。
ステロイド含有の目薬は市販されていませんが、塗り薬や点鼻薬にはステロイド含有のものがあります。
ステロイド薬はアレルギーを起こす免疫機構そのものを抑制する効果があり、また炎症を抑える効果にも優れています。
強いアレルギー反応によるショック状態に陥った患者さんに注射されるのもステロイドです。
局所に用いれば全身的な作用も少なくて効果も抜群ですが、漫然と使用することは禁じられており、点鼻薬の場合は1年間に1ヶ月を超えて使用しないことと書かれています。また、感染が原因の疾患は悪化させてしまいますので原因がアレルギーだと分かっている場合のみ使用してください。
非ステロイド薬とも併用できますので、普段は抗ヒスタミン薬などを使用し一番辛い時期にステロイドを追加、もしくは切り替え使用すると良いでしょう。
東洋医学では「アレルギーは体内に悪い水が停滞していることにより外敵に対抗できないことによる」と考えます。
悪い水が溜まる原因は冷えにあったり、胃腸の状態にあったりと様々ですが、漢方ではアレルギーの症状自体を抑えるのではなく、原因から改善しようという治療を行います。
悪い水が溜まる原因が人それぞれですので、同じアレルギー症状でも使用する薬が異なります。
漢方薬の説明書には体質や症状が独特の表現で書かれていますので、ご自分の体質や症状に一致すると考えられるものを選んでしばらく続けてみてください。
“荊芥連翹湯”は、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー体質を改善する漢方薬に位置づけられています。
特に扁桃炎・鼻炎・皮膚が乾燥傾向でかゆみが激しいアトピー性皮膚炎の人に対して勧められています。
アレルギーによる鼻症状には
“小青竜湯”がよく用いられます。 小青竜湯は、透明でサラサラした薄い鼻水が出る、
頻繁にくしゃみが出る、薄い水のような痰が出るような症状に良いとされています。また、鼻づまりがとれない、鼻の通りが悪いという人には
“葛根湯加川キュウ辛夷”や
“辛夷清肺湯“がよく使われます。
漢方薬は即効性は少ないものの、眠気や便秘といった副作用もほとんど見られないという利点があります。
長めに飲み続ける必要があるので、花粉症の場合では花粉が飛び始める1~2ヶ月前には飲み始めます。
漢方薬は食前または食間(空腹時)に飲んだ方が効果的です。他の薬のように水で飲んでも効果はありますが、顆粒剤をお湯に溶かして香りと共にゆっくり飲むことでより高い効果が得られます。
IgE抗体の話に戻りますが、アレルギー体質の人では何故IgE抗体が過剰に放出されてしまうのでしょう。
少し難しい話になりますが、体内の免疫機構には
“ヘルパーT細胞”という免疫細胞が介在しています。更に、このヘルパーT細胞には
Th1細胞と
Th2細胞という二つのタイプがあり、両者とも外敵と戦う時に指揮官のような役割を果たしています。
Th1細胞は
外敵を破壊して排除せよとの指令を出し、Th2細胞は
敵を認識するためのIgE抗体を作れと指令を出します。
正常な状態ではTh1細胞とTh2細胞はお互いに牽制し合い両者の力のバランスは保たれていますが、何らかのきっかけでバランスが崩れTh2細胞の活性が優位になるとIgEが過剰に産生されてアレルギー症状を引き起こします。
つまり、Th1-Th2バランスを整えればIgE抗体の過剰産生が抑えられアレルギーを抑えられるというわけです。
最近の研究では様々な株の乳酸菌やビフィズス菌で、過剰になったTh2細胞の活性を弱めバランスを戻す効果のあることが分かっています。研究データを見ると乳酸菌を摂り始めてから1ヶ月以内にアレルギーの症状が軽減したというデータもあります。
乳酸菌の可能性はまだまだ未知数で、今後も色んな研究成果が期待できる分野です。
アレルギーを体質から改善したい人は毎日の食事に乳酸菌を取り入れてみてはいかがでしょうか。