では、なぜ白癬菌が病気を起こし、水虫になるのでしょうか?
通常風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気であれば、電車や会社などで病気の人と一緒にいる時にうつることもあります。しかし、水虫の場合は水虫の人と接したからといって水虫になる訳ではありません。 水虫の原因は、白癬菌と接してかつその菌が長い期間皮膚に潜伏していることによるものであり、普通、白癬菌は表に出てこないのです。ところが、靴を長時間履いたり、激しいスポーツをしたりなど白癬菌にとって好ましい“高温多湿”という環境が整った時に、菌が増殖をし始め、水疱ができるなど症状がでてくるのです。
皮膚の最外層(角質層)のはがれたアカのなかに住んでいる水虫は、皮膚がふやけたお風呂上がりにもっとも落ちやすくなります。水虫の感染経路としては、ゴルフ場やスポーツジムのお風呂場のマットなどがあげられます。
しかし、意外と多いのが家庭内での感染です。水虫の方は、浴用タオルやバスタオルは家族とは別のものを使用してください。そしてもっと大事なのは足拭きマット。家族共用になりがちですが、できるだけ水虫の方は別のマットを使用してください。爪切りも共用、貸し借りは厳禁。温泉などで共用のスリッパは素足ではかずにできるだけマイスリッパの持参を。
水虫の治療には一定の期間が必要です。にもかかわらず途中で治療を止め、結局夏が来るたびに再発をくり返している患者さんが多いのです。なぜ水虫を繰り返すのでしょう?
多くの方が治療をし始めてから以下のことを感じます。
■かゆみが治まった
■水疱が消えた
■じゅくじゅくしなくなった
■ズキズキした痛みがなくなった
■塗っていても良くなったと感じない
このように勝手に判断し途中で治療を止める人が多いのです。水虫で
一番重要なことは「素人判断をしない」ということです。
水虫菌はすぐに死なないのです。
水虫の種類、感染部位などにより治療期間は異なります。ただ、いったん治ったように見えても、菌は活動を休止しているだけ。足の皮膚は角質層が厚いため、皮膚の中に菌が潜んでいることが多いのです。菌は再び活動を開始する時期をねらっているので、症状がなくなったあとも1ヵ月間は根気よく治療を続けましょう。また医師の指導の下、皮膚が新陳代謝する期間にかけて治療を行うこともあります。勝手に自己判断で中断しないことが大事です。
水虫は人にうつす危険性の高い皮膚病です。よって、家族に水虫の人が一人でもいるとほかの家族に白癬菌が感染している可能性が高いと言えます。ここが水虫治療の一番難しい点であり、自分だけ治しても他の家族に水虫の人がいれば、白癬菌は家からいなくなりません。水虫を治し、再感染を防ぐには、必ず家族と一緒に治療を始める必要があります。
いずれにせよ水虫治療は根気よく治していきましょう。
最近、次々と発売されている外用抗真菌剤は、これまで医療用に使われていた成分を含み、効き目がいっそう強力になった新世代薬、「スイッチOTC薬」といわれるものです。患部に薬剤が長くとどまることにより、ほとんどが1日1回の塗布で済むのが特徴です。そのほか、家庭で古くから使われている伝統的なおくすりも根強い人気です。