嚥下障害のある人にとって、サラサラとした粘度の低い液体(水やお茶など)を飲み込む際、するりと喉の奥に入ってしまい、むせることが多くあります。そこでとろみをつけると、ゆっくりと喉を通るためむせにくくなります。液体だけではなく、パサパサしたものや粘り気のあるものも飲み込みづらいため、料理をあんかけにしたり煮汁にとろみをつけると、口の中でまとまりやすく、むせの防止になります。
とろみには、コーンスープのような粘度の低いものから、濃厚ソースのような粘度の高いものまであり、個人の嚥下にあった強さにしなければなりません。ただし、とろみをつけすぎてしまうと、逆に飲み込みづらくなり誤嚥や窒息の原因となることがあるため気をつけなければなりません。
とろみをつけるのには、片栗粉や葛粉、小麦粉そして市販のとろみ調整食品が使われます。とろみ調整食品は、食品の温度に関係なく簡単にとろみをつけることができます。
主に液体の食品に粘性をもたせるために使われます。お茶やみそ汁、やわらかく煮た麺類のつゆに入れてとろみをつけたり、ミキサー食にとろみをつける、など食事を食べやすい形態にすることができます。また濃厚流動食や牛乳のように、食品の種類によってはとろみがつきにくい場合があるため、商品の性質に合ったものを選ぶ必要があります。
とろみは性質上、とろみの状態から安定するまで多少時間がかかります(商品のホームページ等に載っています)。液体と混ぜた後、思ったようなとろみがつかなかったからとどんどん粉末を足してしまうと、強くつきすぎて団子状になってしまうので、注意しましょう。
なおとろみ調整食品の中で、日本介護食品協議会が制定した規格に適合する商品には、「ユニバーサルデザインフード」のパッケージにマークがついています。
食べ物や飲み物に加えてまぜるだけで、適度なとろみを簡単につけることができる粉末状タイプのものと、ゼリー状にかためることができるタイプのものがあります。
メーカー間の表示を統一し、とろみのつき方を下のように4段階のイメージで表現しています。(商品によっては3段階で表示する場合もあります)
UDFのマークがついていないとろみ調整食品では、“とろみのイメージ”は、ヨーグルト状、ポタージュ状など表記は様々であり、使用量の目安も商品によって異なりますので、ホームページなどで確認した上で利用するようにしましょう。
またとろみ剤を入れて混ぜるときは、下のような点に注意して行うとだまになりにくくなります。