喉の痛みや腫れが辛い場合は、解熱鎮痛薬に
トラネキサム酸や
グリチルリチン酸などの
抗炎症成分がプラスされている薬を選ぶと良いでしょう。
痛みの元となる腫れや赤みを鎮めてくれます。
喉が腫れて痛む風邪では、高熱が出やすい傾向があるため腫れと熱に効く薬が適しています。
咳もウィルスや異物を呼吸器に侵入させないために起こる
生体防御反応ですのでむやみに止めない方が良いと言われていますが、咳き込みが続くと体力を消耗しますので、辛い場合には咳止めを使用します。
痰の絡まない
乾いた咳が出る場合は、気道が炎症を起こしていて、それが延髄にある
咳中枢を刺激することで咳が起きています。よって、このような咳には咳中枢を鎮める作用のある
中枢性鎮咳薬が良く効きます。中枢性鎮咳薬の成分は、
麻薬性の
コデインリン酸塩水和物、
ジヒドロコデインリン酸塩などと、
非麻薬性の
ノスカピン、
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 、
チペピジンヒベンズ酸塩などに分けられます。麻薬性の成分は
依存性があり、長期連用や用法用量を超えた服用はしてはいけませんが、用量・用法を守れば高い効果を得ることができます。 副作用として、眠気、口の渇き、便秘などが現れることがあります。また、喘息発作による咳は反って悪化させることがありますので使用できません。
非麻薬性のものは麻薬性鎮咳成分に比べ咳を止める作用は弱くなりますが、便秘などの副作用が少なく、比較的安全な成分です。
痰が絡んでゼーゼーするような
湿った咳の場合は、痰が増えて気道に溜まっていたり、気道が狭くなって呼吸がしづらくなっていることもあるため、痰の粘りを取って外へ出しやすくする去痰剤や、気道を広げて呼吸を助ける
気管支拡張剤が配合されたお薬を使用します。
去痰剤には
グアヤコールスルホン酸カリウム 、
カルボシステイン 、
リゾチーム塩酸塩 、
グアイフェネシンなどがあります。副作用はほとんどありませんが、リゾチーム塩酸塩は
卵に由来する成分のため卵アレルギーのある人は使用できません。
気管支拡張剤には
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 、
ジブロフィリン 、
テオフィリンなどがあります。dl-メチルエフェドリン塩酸塩は咳止めや総合感冒薬に配合されていることが多く、ジプロフィリンとテオフィリンは気管支拡張の専門薬として市販されています。交感神経を刺激することにより気管支を拡げて咳を鎮めたり呼吸を楽にします。交感神経の興奮により血圧の上昇や心拍数の増加、血糖値の上昇などがあるため、高血圧や糖尿病、心臓疾患などの持病がある方は注意が必要です。
2週間以上続く咳の場合、普通の風邪ではないこともありますので、医師の診察を受けましょう。
くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの鼻症状に効く主な成分は、
クロルフェニラミンマレイン酸塩を始めとする
抗ヒスタミン薬と呼ばれる成分です。鼻症状を引き起こす
ヒスタミンという体内物質をブロックして、くしゃみや鼻水を鎮めます。抗ヒスタミン薬はほとんどの風邪薬に配合されています。副作用として眠気、口の渇き、便秘などが現れることがあります。
鼻水を強く抑えるために
抗コリン薬が配合されている薬もあります。抗コリン薬の成分には
ベラドンナ総アルカロイドや
ヨウ化イソプロパミドなどがあり、副交感神経の働きを抑えることで分泌系を抑制し、鼻水を止めます。同時に鼻水以外の分泌も抑制して唾液や涙、汗の分泌量が減り、口や目の渇きを感じることがあります。抗コリン薬は、緑内障や前立腺肥大のある人の症状を悪化させることがあり注意が必要です。
鼻の症状だけの場合は、全身作用の少ない鼻スプレーなど局所薬を使用すると副作用を軽減できます。鼻詰まりには、鼻の血管を収縮させる
血管収縮薬が配合されている鼻スプレーを選ぶと改善します。
様々な症状が出て、とにかくしんどい人にはやはり
総合感冒薬ですね。総合感冒薬は、これまでに紹介したそれぞれの症状に効く成分が配合されて、風邪の諸症状に効く製剤になっています。効果の強さ=成分の含有量となりますので特に辛い症状に効く成分が多く入っている薬を選ぶと良いでしょう。また、漢方薬が配合されていたり、風邪による体力消耗を補うためにビタミン類が配合されていたりと薬によって工夫がなされています。
しかし、咳止めと総合感冒薬を飲む、というように2種類以上の風邪薬を飲むと成分が重複し、副作用のリスクが高まりますので、総合感冒薬を飲む場合は他の風邪薬の併用は避けてください。
また、市販の風邪薬といっても、副作用が出てしまうことがあります。眠気や口の渇きなど軽い副作用でしたら服用を止めれば治るのですが、ごくごく稀に重篤な副作用が出てしまう場合もあります。薬のパッケージには必ず説明書が入っており、副作用についての記載がありますので、よく読んで、該当する症状が出たら服用を止め、直ちに医療機関を受診してください。