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2015.8.28更新

第28回 頭ジラミ
頭ジラミとは?
頭ジラミは、頭髪に寄生し皮ふから血を吸って繁殖する寄生生物です。日本では衛生状態の悪かった戦後に問題となり、DDTという強力な殺虫剤が駆除に使われていました。しかし、DDTが環境汚染物質ということで規制されて以降再び増え始め、学校や幼稚園など子どもの集団生活の場を中心に、現在でも散発的な発生がみられています。 感染の危険は1年を通してありますが、6月ごろの報告が多くなります。理由は、プール前の健康診断や頭髪検査で発見されることが多いからです。

どんな症状?
基本的に頭ジラミを発症した際の症状は“痒み”だけです。頭ジラミが血を吸収する際に分泌物を注入し、それに対するアレルギー反応として痒みが生じます。寄生しているシラミの数が増えるほど吸血回数が増え、痒みが増していきます。痒い箇所を指で引っ掻いて湿疹を起こしたり、掻き傷から細菌が入って“とびひ”になることもあります。
特に後頭部や耳の後ろのしつこいかゆみは要注意です。お子さんが頻繁に頭を掻いていたら頭ジラミを疑ってください。
しかし、痒みには個人差があり、まったく痒くない場合もあります。このため、知らずに家族や友人に感染を広げてしまうケースがあります。

感染経路は?
頭ジラミはノミのようにジャンプして飛び移るようなことはありません。基本的に感染は“接触”によって起こります。幼稚園・小学校に通う子供たちは遊ぶ際や昼寝の際に頭をくっつける機会も多く、髪の毛の接触を介して貰ってくるケースがよくあります。
また、しらみは頭同士の直接の接触だけでなく、リボンや帽子、クシ、タオル、ヘルメットといった頭に接触するものを媒介にして移っていくので、ご注意ください。親子で同じ布団で寝たり、兄弟でじゃれあったりしているうちに移ってしまうこともよくあります。
不潔さとは無関係です。毎日髪を洗って清潔を保っていても感染しますので、感染しても子どもをしかったりしてはいけません。

頭ジラミの見つけ方は?
アタマジラミは、体調2~4mmで灰色か灰褐色。成虫や幼虫は動きが速く見つけにくいですが、卵は光沢のある灰白色の楕円形で、髪の根元近くに付着しています。耳際や襟足を注意して観察すると見つかります。
しらみの卵は、ヘアーキャストと呼ばれるフケの一種とよく似ているため、ヘアーキャストを卵と見間違えることがあります。
卵かヘアーキャストか調べるには、実際に指でつまんで取ってみると良いです。卵はなかなか取れませんが、ヘアーキャストは簡単に取れます。
また、ヘアーキャストはマカロニのような形で髪の毛を包むようにくっついているのに対し、卵は丸っこい形をしており、髪の毛の片側にがっちりとくっついています。

駆除の方法は?
現在の日本では、低毒性の“フェノトリン”という成分だけが人に直接使用できるアタマジラミ駆除薬として認められています。フェノトリンはシラミに効く殺虫剤の一種で、商品としては 「スミスリン パウダー」と液剤「スミスリン Lシャンプータイプ」の2種類があります。
パウダータイプは頭髪に振りかけてよく馴染ませてから1時間ほど放置して洗い流します。シャンプーは濡らした頭髪に充分に行き渡らせてから5分放置し充分に洗い流します。

スミスリンを使ったアタマジラミの駆除方法
スミスリンパウダー 30g
第2類医薬品
2,052円(税込)
パウダータイプなので頭髪はもちろん、衣類、寝具類、床、畳等にも使用できます。

スミスリンLシャンプー 80mL
第2類医薬品
2,981円(税込)
シャンプーするように泡立てて、5分待つだけ。7~10日間で「シラミ」を退治。



スミスリンパウダー、スミスリンLシャンプー共にシラミの幼虫や成虫は殺せますが、生きた卵が残ってしまいます。そこで生き残った卵から幼虫が孵化するのを待って退治するのが効果的な使用方法になります。
2日おきの使用を3~4回繰り返します。卵は硬い殻に覆われていて、約7日で孵化しますから、シラミが卵からかえるのを待って退治する方法をとっています。2日おきに3回の使用でちょうど7日になりますので、少なくとも3回の処理が必要です。できましたら念のために、4回、計10日間の使用をお勧めします。

アタマジラミの卵はセメントの様な物質で髪の毛にしっかりと付着しているので、幼虫になって出ていった中身のない卵の殻、死んでしまった卵がいつまでも付いています。
放置しておいても問題はありませんが、気になるなら、目の細かいクシでよくすいて取り除いてください。

ハイコームDX 頭シラミ用すきぐし
1,866円(税込)
アタマジラミの卵をすき取るのに適し、またフケなどをすき取るのにも使用できます。


集団での駆除が効果的
アタマジラミは、集団的に感染するので、治療も集団で一斉にできればより効果的です。感染の拡大や再感染する機会を減らすことになります。
子供1人にアタマジラミを発見した時には、家族全員の点検が必要になります。また家庭内感染を防ぐためにタオル、シーツなどは共用せず、こまめに洗濯してください。頭ジラミは熱に弱いので、洗濯の前に60度以上のお湯に5分間以上浸ける、衣類乾燥機で乾燥させる、アイロンをかける、などすればより効果的です。

自分の子供にシラミが見つかったら、通っている幼稚園、小学校等でかなり広範囲にシラミがまん延していることが予想されます。
この場合は一人だけ駆除しても再感染を繰り返す可能性が高いので、一斉に駆除することが効果的で、先生方に相談してみるのがよいと思います。ただし、言い出した人感染源として見られることによるイジメなど嫌な思いをさせられることも考えられますので、慎重に相談されることをお勧めします。

このように、シラミの治療は難しくないにもかかわらず、再感染の可能性が高く、また誤解や偏見を生む状況を作り出すこともあります。「頭ジラミに感染したら学校に行ってはいけないの?」という質問がありますが、学校保健法施行規則では頭ジラミ感染症は、「通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症」と例示されています。
出典:ダンヘルスケア株式会社 HP