ホーム  >  からころ連動企画  >  Vol.15 ビフィズス菌、乳酸菌との上手なつきあい方

からころ×e健康ショップ 連載企画!
2018年9月20日
健康レッスン1・2・3!

【第3回】ビフィズス菌、乳酸菌との上手なつきあい方

『体にいい善玉菌』のビフィズス菌と乳酸菌……。
でも、そのメカニズムや効果的な摂取法は、意外に知られていません。
今回のテーマは、ずばり、ビフィズス菌、乳酸菌との上手なつきあい方です。

答えてくれた人

岩淵 紀介 さん

森永乳業株式会社
研究本部 素材応用研究所 機能素材開発グループ
主任研究員 博士(農学)


●森永乳業 ビフィズス菌研究所
http://bb536.jp/morinagamilk/
岩淵 紀介さん

ビフィズス菌の健康効果に注目

ビフィズス菌のつくり出す酢酸は大腸のバリア機能を高め、O157(腸管出血性大腸菌)の感染を抑制する役割を果たすことも、わかっています。さらに、肥満解消、免疫力向上、アレルギー症状の緩和、メンタルヘルスの維持にも効果があることがわかってきています。まさに、「ビフィズス菌」は善玉菌の主役ですね。

善玉菌は、ヒトにとって有益な役割(整腸作用や消化促進作用など)を果たす腸内細菌のことで、そのほとんど(99・9%以上)はビフィズス菌です。ビフィズス菌は、おもに大腸で活躍します。ここで酢酸などの酸をつくり、その強い殺菌力で悪玉菌を抑制します。それらの酸が腸を刺激し、腸を活発に動かすことで、便秘の解消を促します。

ビフィズス菌と乳酸菌のちがいって、何?

乳酸菌は、おもに糖類を分解して乳酸をつくりだす細菌の総称です。ビフィズス菌も乳酸をつくるので同類と思われがちですが、まったく種類が異なります。ビフィズス菌は酸素が少ないヒトや動物の腸管内に生息します。一方、乳酸菌は、さほど酸素に敏感ではなく、牛乳や乳製品、発酵食品などのなかでも生息できます。

また、乳酸菌はビフィズス菌のように酢酸をつくれないので、便秘改善などの整腸効果はあるものの、O157への感染予防効果は期待できません。ところが近年の研究で、ある特定の乳酸菌が免疫力向上に大きく貢献することがわかってきました。それが外敵から人の体を守る働きを持つことから名づけられた「シールド乳酸菌」です。

シールド乳酸菌は免疫力UPに効果的!

シールド乳酸菌は、とくに小腸で大活躍します。腸には、全身の免疫細胞の半分以上が集中しているのですが、それは胃から運び込まれる消化物に、たくさんの外敵が含まれているからです。シールド乳酸菌は、小腸で免疫細胞に働きかけ、活性化させることができます。とくに、風邪などの感染予防効果や高齢者のインフルエンザワクチン接種の効果を高める働きが報告されています。

ビフィズス菌と乳酸菌の違い

どう摂取するのがいちばん効果的?

ビフィズス菌もシールド乳酸菌も、ふだんの食事で摂取するのはむずかしいので、加工食品やサプリメント、栄養補助食品からとるのが効率的です。ビフィズス菌を含む食品の代表格はヨーグルトですが、すべてのヨーグルトに含まれているわけではないのでご注意ください。パッケージに「ビフィズス菌」と表記されないものは、基本的には乳酸菌のみで発酵させています。

ヨーグルト中のビフィズス菌は、特殊な発酵技術によって生かされていますがなるべく空気(酸素)には触れさせないでください。フタをあけたら、振ったりかき混ぜたりせずに、大きめのスプーンでそっとすくってくださいね。また、食べ方については『量より継続』をこころがけてください。スプーン1杯(約30g)でも、整腸作用があります。少量ずつ、最低でも2週間は続けて食べてみましょう。朝・昼・晩、いつでもOKです。なるべく食後に摂取してみてください。できればこれを習慣化して、日頃から腸内環境を整えておくと、いざというときに健康効果をしっかり実感できるはずです。

シールド乳酸菌の場合は、継続することに加え、摂取する時期も重要です。体調の変化が気になる季節の前に、しっかりと継続して摂取することが大事です。シールド乳酸菌は、『少し前から継続して』が効果的なとり方だと覚えておいてください。

最後に

腸内環境は、体調に大きな影響を与えます。いつまでもいきいきと健康に過ごすためにも、風邪などの感染症が流行する季節(冬)を迎える前に、ぜひビフィズス菌&シールド乳酸菌を活用してみてくださいね。

ビフィズス菌を含む食品の代表格「ヨーグルト」の上手な食べ方 ビフィズス菌の基礎知識 ・ビフィズス菌は空気に触れると死んでしまう。 ・ヨーグルトのなかのビフィズス菌は特殊な技術で生きている。