葛貫堅太(くずぬき・けんた)さん
興和株式会社 医薬事業部 セルフメディケーション開発本部 亜州開発部
ほとんどは、加齢による軟骨のすり減りが原因です。軟骨は一度すり減ると、もとには戻りません。とくに50歳くらいからは、ももの筋肉が衰えて、ひざに負担がかかることが多くなる。体重が重い人は、その分、さらに負担がかかりやすくなります。
また、ひざには若いころからのダメージが蓄積されていきます。激しいスポーツや肉体労働などひざを酷使しつづけると、軟骨がすり減って、慢性的にひざの痛みを感じるようになる。とくに最近はランニング・ブームですが、無理をしてオーバーワークにならないように気をつけて。
つねにひざが痛むわけではないが、冷えると痛む方には、保温性サポーター。ふだんから痛みがあって動くのがつらいという方は、機能性サポーターがおすすめです。
機能性サポーターを選ぶときに大事なのは、サイズ。大きすぎるとずり落ちて、きちんと固定できません。小さすぎると、締めつけ過ぎて、うっ血したり、動きにくくなってしまいます。服のサイズ表記と同じ感覚でついアバウトに選んでしまいがちなので、注意してください。
正しいサイズを選ぶために、自分のひざのサイズを測ってください。イスに座って、軽くひざを曲げて、ひざ頭の周囲に布製メジャーを回して測ります。何センチならどのサイズ(「S」「M」「L」など)か、商品の箱の表記を参考に選んでください。
サイズをきちんと確認できたら、あとは形状です。
筒状タイプのものとベルトタイプのものがあります。
サポーターは、ひざの動きを妨げない伸縮性と、しっかりと動きを補助してくれる固定力を兼ね備えていなければなりません。筒状タイプは伸縮性、ベルトタイプは固定力にすぐれています。痛みが強いほど、固定力の強いタイプがおすすめ。ベルトタイプは、自分で締められる、固定の程度を調整できることも特徴です。
そのほかには、色や生地の肌触り、速乾性、継ぎ目があるもの/ないもの……などさまざまな工夫が施されています。実際に使用してみて、使いやすさや着け心地を確かめてみてください。
機能性サポーターをつけるときは、前後・左右・上下などの方向をまちがえないようにしましょう。意外に、まちがえている方がいらっしゃる。伸縮性のある構造ですから、ムリをすればつけられちゃうんです。でも、サポーターはひざの筋肉や骨のかたちにマッチするように作られています。効果を十分に得るためには、正しく装着することがとても大切。着用方法をきちんと確認してください。
さらに、就寝時にはサポーターを外しましょう。血行不良をおこしてしまいます。あくまでひざが大きく動くときの補助に使用してください。
また、洗い方にも気をつけてください。手洗いするか、洗濯ネットに入れて洗いましょう。正しく使えば3~5年程度もちますが、無造作に洗っていると早くに傷んでしまいます。
サポーターの目的は「日常生活の補助」だということも忘れないでくださいね。つけたからひざの痛みが治るわけではありません。たとえば、階段の昇降や椅子の立ち座りなどの動作を補助し、よりスムーズにしてくれるものです。
ひざが痛いからと動かさなくなると、筋肉が衰えてさらに負担がかかり、痛みが増すという悪循環に陥ります。
毎日動くことを意識して、10分でもいいから歩く。意識して少し大股で歩いてみる。それだけでもひざの筋肉が鍛えられますよ。