髙橋愛子(たかはし・あいこ)さん
和光堂株式会社 開発本部 マーケティング部 課長補佐
唾液の分泌量が減ると、「慢性的に乾いている」と感じます。唾液分泌が減る原因は、おもに次の5つです。
・加齢による、唾液腺の機能低下
・糖尿病や腎疾患など、病気にともなう症状
・薬や放射線治療などの副作用
・喫煙や飲酒などの生活習慣
・就寝時の口呼吸
複数の要因が重なって起こることも多く、とくに病気が原因だと重症化するケースもあります。ただし加齢や生活習慣などが原因であることも多く、その場合は軽度な口の乾きが慢性的に続きます。
とくに、年齢を重ねるほど口の乾きに悩んでいる方は増え、60代から急増します。「要介護」の方には、とても多く、胃ろうをして口から食べなくなったり、話をしなくなり、口を動かさなくなってくると、乾きやすくなってきます。
「口が乾いている=唾液が減る」状態が続くと、口臭が強くなったり、菌やウイルスが増殖しやすくなります。虫歯になりやすくなったり、風邪やインフルエンザにもかかりやすくなります。
唾液には自浄作用があるからです。口内の衛生を保つためにも、軽度のうちから対策しておくといいと思います。
とくに介護度が高い方などは、そのまま放置すると、口内の細菌が増殖し、誤嚥性肺炎の危険が高まります。肺炎は日本人の死因3位ですが、その9割は誤嚥性肺炎が占めるとも言われています。介助する方がしっかり口腔ケアをしてあげるといいですね。
口内を洗浄しながら、うるおいも与えてくれるタイプです。通常の洗口液とくらべて、とろみがついています。
そのほかに、歯みがき粉に保湿剤を含んだものも登場しています。
使用シーンと乾燥のレベルに合わせて選んでください。上手に併用するのも、おすすめです。たとえば、日中にはスプレータイプを使い、寝る前にはジェルタイプでしっかり保湿する…など工夫してみてください。
ジェルタイプは粘度が高く、違和感を感じてしまうという方もいます。はじめは、使いやすいスプレータイプを試すのもいいと思います。マウスウォッシュや歯みがき粉などを保湿剤入りに変えるところから始めてみてもいいかもしれません。
味は何種類か用意されています。保湿ケアは毎日のことなので、無理なく続けられる、好みに合った味や感触のものを選ぶことが大切です。
口腔ケアのタイミングは、毎食後と就寝前が基本です。まず、口内を清潔にして、保湿してみましょう。要介護の方は、うがいの水でむせ込んでしまうことがあります。むやみに水でうがいせず、スポンジブラシや口腔ケア用のウエットティッシュを使って、しっかり除去してください。
日常生活で口を使うように意識することも大事です。よくかんで食べる、話をする、口のまわりをマッサージするなど、口に刺激を与えることで唾液の分泌が促されます。 毎日、口腔ケアを意識するだけで、みるみる口の乾きが改善されていく方もいらっしゃいます。毎日続けていくことが大切ですよね。
保湿ケアを続けても、乾きが改善しない方は、専門医に相談しましょう。最近では、ドライマウス外来を開設している歯科も増えています。