管理栄養士がお届けする介護コラム「栄養と食事」近年、高齢者の低栄養(栄養不足)が原因で起こる様々な心配が増えてきています。
このコラムでは、高齢者や介護現場で必要な知識や役立つ情報を発信していきます。
食事のバランスと質を考えて食生活を見直し、健康的な生活を送りましょう。
2015.2.19更新
Vol.13 栄養のバランスを意識してみよう!
高齢になると、準備の大変さや食が細くなることもあり、栄養バランスのよい食事を摂ることが難しくなります。しかし体の機能を維持するためには偏りなく栄養をとることが大切で、エネルギーとなる
糖質や脂質、血液や筋肉、体をつくる
たんぱく質、体の調子を整える
ビタミン・ミネラルといった栄養素が必要です。
とはいえ、ひとつひとつの栄養素を意識しながら摂ることは大変です。食事スタイルの基本である、「主食」「主菜」「副菜」をなるべくそろえるようにしましょう。
●主食・・・米飯、パン、麺、その他の穀類(春雨、とうもろこし、かぼちゃなど)、イモ類
●主菜・・・魚介類、肉類、卵類、大豆製品(納豆、豆腐、油揚げなど)、乳製品
●副菜(1~2皿)・・・野菜、きのこ、海藻、こんにゃく
油やバターは、高齢者に不足しがちなエネルギーを増やすために便利です。最近では、吸収が早く肝臓ですばやく分解されるため、体内への蓄積がない“中鎖脂肪酸”が利用されることも多くあります。中鎖脂肪酸は「ココナッツオイル」にも多く含まれており、ケトン体を効率的に作り出し脳のエネルギーになることから、アルツハイマー病の症状を緩和させるといわれています。
主食・主菜・副菜(1~2皿)と、お皿の数を多くする必要はありませんが、なるべく色々な食材を取り入れるようにしましょう。たとえば『煮込みうどん』なら、主食[うどん]、主菜[卵・油揚げ]、副菜[人参・大根・しいたけ・しめじ]を入れることで、一つのお皿でも栄養バランスよく食事をすることができます。しかし『うどん』と『おにぎり』になると、主食のみの食事になってしまいます。少量ずつでもよいので、いろいろな食材が入ったものを食べることを意識してみましょう。わざわざ調理するのも大変なので、食材を切って冷凍庫に保管しておくと、いつでも使えてとても便利です。
実際はこれだけの食事がとりづらい方もいらっしゃいます。エネルギーや栄養不足にならないように、濃厚流動食や高カロリーゼリーなどの栄養補助食品を活用して、1回の食事で栄養素がなるべく多く摂れるように工夫してみましょう。
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