管理栄養士監修！食を通じた様々な話題をまとめたコラムとレシピをお届け！健康づくりには、正しい栄養や食事が重要です。毎日の暮らしの中で役立つ情報を、管理栄養士がご紹介します。

2018.7.20

第40回　紫外線からのダメージを抑える栄養素

日差しが照りつける夏。帽子をかぶったり日傘をさして日焼け対策をしていたはずなのに、しみやそばかすがたくさんできて愕然とする・・・そんな経験のある方は多いのではないでしょうか。
太陽光に含まれる紫外線を浴びると、体内に活性酸素が発生し、皮膚の細胞を酸化させてしまいます。また皮膚だけでなく眼にも影響を及ぼし、結膜を傷つけたり白内障を発症させてしまうこともあります。

紫外線

紫外線には波長の違いによってUVA、UVB、UVCなどがあり、UVAは肌の表皮からさらに真皮まで吸収され、コラーゲンなどを破壊し、しわやたるみの原因となります。UVBは表皮で吸収され、メラノサイト（表皮の一番下にある、メラニン色素を作る細胞）を活性化させてシミやそばかす、肌荒れの原因となります。
日焼け止めクリーム等にPAやSPFという表示がかかれてあることがありますが、真皮まで吸収されるUVAを防ぐ指標をPA、表皮で吸収されるUVBを防ぐ指標をSPFといいます。PAは+～++++まであり、数字が大きいほど防ぐ効果が期待できます。
またSPFは最大で50+で表示されており、通常紫外線を浴びて約20分で日焼けが始まりますが、SPF30のものであれば、20分×30＝600分、日焼けを遅らせることができるという目安になります。

日焼け止め

紫外線は一年中出ています。UVAは1年を通して注意が必要ですが、4～8月がとくに多いとされています。UVBは4月から増え始め、8月までがピークで、残りの時期は比較的少なめです。
こういった紫外線による影響を防いだり酸化が進むのを抑えるには、食事では下のような抗酸化作用のある栄養素を摂ることが重要です。またこれらの栄養素は、肌の細胞が約28日かけて入れ替わる「ターンオーバー」を正常化して再生力を高めます。

日焼け止め

β-カロテン

活性酸素を除去し、皮膚や粘膜を保護する働きがあります。脂溶性のため、油や脂質を含む食材と一緒に摂ると吸収率が高まります。β-カロテンは、オレンジや黄色、緑など、色が濃い野菜に多く含まれています。
　多い食品　
モロヘイヤ、かぼちゃ、にんじん、あしたば、ほうれん草、大根の葉、ちんげん菜、豆苗、にら等

ビタミンC

メラニンの生成を抑え、メラニン色素を排出する働きがあり、しみやそばかすを予防します。またコラーゲンの合成を助けます。水溶性で水に溶けやすく、また熱や光にも弱い成分です。じゃがいもやさつま芋などの芋類のビタミンCは、でんぷんに守られているため調理による損失が少ないです。
　多い食品　
赤ピーマン、ブロッコリー、かぶの葉、カリフラワー、にがうり、ほうれん草、じゃがいも、レモン、キウイフルーツ　等

ビタミンE

血行を促して肌の新陳代謝を高めたり、活性酸素を抑えて老化を防ぎます。ビタミンEは、ビタミンCと一緒に摂ると抗酸化力がより高まります。ビタミンCの多い野菜サラダを、油やナッツと一緒に摂るなどするとよいです。
　多い食品　
うなぎの蒲焼き、モロヘイヤ、赤ピーマン、かぼちゃ、ひまわり油、綿実油、アーモンド、ピーナッツ　等

これらは、たくさん摂ったからといって効果があるというものではありません。日々不足しないように摂ることが大切です。そのためには毎食、主食に加え、野菜やたんぱく質が多い食品をそろえたバランスのよい食事を摂ることです。
夏は食欲も落ちてしまいがちです。たとえば麺の上に、豆腐やささみなどのたんぱく質の多い食品、にがうりや豆苗などの野菜をのせていただくと、ワンプレートで様々な栄養素を摂ることができます。今年の夏は、紫外線のダメージを最小限に抑えるために、抗酸化作用のある食材を積極的に摂りましょう。

ワンプレートで様々な栄養素