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管理栄養士監修!食を通じた様々な話題をまとめたコラムとレシピをお届け! 健康づくりには、正しい栄養や食事が重要です。毎日の暮らしの中で役立つ情報を、管理栄養士がご紹介します。

2017.4.21

第34回 野菜から食べる

数年前から「野菜から食べる」という食べ方がテレビ番組などでも頻繁に取り上げられ、ダイエットや糖尿病の食事療法として注目されています。厳しい食事制限とは違い、無理なく続けられる方法のため、毎日の食事で野菜から食べている、という人も多いのではないでしょうか。しかし少し間違った順番で食べている方もたくさんいるため、もう一度正しい順番を見てみましょう。
野菜から食べる
~最初にクイズです!~
 下記のおかず、あなたならどれから食べますか?
 (1)ポテトサラダ (2)かぼちゃの煮物 (3)小松菜のお浸し (4)肉じゃが
    答えは後ほど!

なぜ野菜から食べるといいの?

食事をすると、血糖値が上がります。血糖値が上昇すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが出ます。インスリンは、肝臓や全身の細胞にブドウ糖を届け、ブドウ糖はエネルギーとして使われます。しかしエネルギーとして消費しきれなかったブドウ糖は脂肪に変わり、脂肪細胞として体内に蓄積されます。
野菜から食べることで、「食物繊維」の影響により血糖値の上昇を緩やかにすることで、すい臓から出る「インスリン」が、肝臓や細胞にブドウ糖を届ける量が少なくなり、エネルギー源として消費されやすくなるため、脂肪が増えにくくなります。
野菜から食べることは、血糖値への影響だけでなく、コレステロールの吸収を抑えたり、ナトリウムの排泄を促したりするため、脂質異常症や高血圧などの予防・改善や動脈硬化予防にもなるとされています。

以下の順番で食べましょう♪

最初:野菜料理 ~野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなど~

料理例)青菜のお浸し、わかめの酢の物、きのこの酒蒸し、炒りこんにゃくなど
野菜に含まれる食物繊維には、炭水化物から分解されたブドウ糖の吸収速度をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用があります。野菜料理は5分以上かけて、ゆっくりよくかんで食べましょう。これは、野菜を食べた後、炭水化物が腸に入ってくるまでの時間が短いと、食物繊維の効果(炭水化物の吸収速度をゆっくりにすることで、血糖値の急上昇をゆるやかにする)が発揮できないためです。
野菜は1日350g~400g以上とる必要があります。これは、1食で生の野菜なら両手一杯の量、加熱した野菜なら片手1杯の量以上が目安です。なるべく2皿以上のおかずを用意しましょう。たとえばレタスやトマト、きゅうり等を切ったサラダが1品、ひじきの煮物で1品といったイメージです。
 ★ちょこっとヒント 
毎食の料理で、一品増やすことは、作る側にとっても大変。ピクルスなどの常備野菜を作っておく、市販の惣菜を使う、冷凍野菜をスープに入れたり煮る、器に盛るだけでよい千切りキャベツを使うなど、市販のものも上手に利用してみましょう!
野菜から食べる
ところで、以下のようなものを最初に食べていませんか?!
ポテトサラダ・春雨サラダ・かぼちゃサラダ・コーンサラダ・マカロニサラダ・じゃがいもの煮物・フライドポテト・山芋の酢の物・大学芋・しゅうまい・ぎょうざ
このようなじゃがいもや山芋、さといも、かぼちゃ、とうもろこしのようなものは糖質が多いため、野菜ではなく、ごはんやパンと同じ『主食の仲間』になります。野菜として食事の最初にたくさん食べると、血糖値を高く上げてしまい、逆効果です。他に以下のような食材がありますので、気をつけましょう。
糖質の高い食品
~最初のクイズの答え~
 答えは(3)でした!
 1、2、4は糖質が多い食材ですので、最初に食べ過ぎないようにしましょう。

最初に野菜

2番目:たんぱく質の多いおかず ~卵、魚、肉、納豆・豆腐などの大豆製品~

料理例)さばの味噌煮、茶碗蒸し、しょうが焼き、豆腐ハンバーグなど
野菜料理を食べ終えたら、肉類・魚介類・大豆製品・卵・乳製品などのたんぱく質の多い食品の入ったおかずを食べます。
たんぱく質
次にたんぱく質

最後:主食・主食の仲間 ~ごはん、パン、うどん、スパゲティなど~

料理例)白米、食パン、煮込みうどん、ナポリタンなど
ここにくるまでに、野菜を食べ始めてから10分以上たっているのが目標です。ごはんだけで食べられない場合は、主菜のおかずを半分~1/3残してごはんと一緒に食べましょう。 また、ごはんの量は、ここまでの時点でのお腹の満足感と相談をして決めましょう。大きいお茶碗の人は、小さいお茶碗に替えてみるのも、見た目の満足感が違うのでおすすめです。ふりかけや漬物を食べる場合は、塩分が多いうえ食欲増進させてしまうため、量に気をつけて戴きましょう。
主食

まとめ

「野菜から食べる」方法は、とくに制限や決まりはありません。ただ、ダイエット中は脂質も控えるようにすると、効果が出やすくなります。例えば豚肉はバラ肉よりモモ肉を使う、サラダにかけるドレッシングをノンオイルにする、揚げ物の回数を減らすなどの工夫が必要です。家で野菜から食べることを行っていると、外食でも野菜から食べる習慣がつきます。ぜひ今夜から野菜料理を準備して、「野菜から食べる」を行ってみましょう。

おすすめレシピ「野菜の味噌炒め煮を使ったミネストローネ風スープ」

保存のきく「野菜の味噌炒め煮」は歯ごたえがあって満腹感があります。
そのまま食べてもOK、スープにしてもOK♪
野菜の味噌炒め煮を使ったミネストローネ風スープ
<材料>4人分 <調理時間>30分
ごぼう : 1本
人参 : 1本
ほうれん草 : 2株
ブロッコリー : 100g
油 : 大さじ2
味噌 : 大さじ2
みりん : 大さじ2
水 : 500cc
トマトジュース : 150cc(1人分)

作り方

  1. ごほうは1cmの輪切り、人参は1cm角の角切り、ほうれん草・ブロッコリーも1cm幅に刻む。
  2. フライパンに油を入れて中火で熱し、ごぼうとにんじんを入れ、しばらくそのままにしたり炒めたりして焦げ色がつくくらいまで炒める。(約5分)
  3. ブロッコリーとほうれん草を入れ、よく火が通るまで約5分炒める。
  4. みそ・みりん・水を合わせて加え、5分ほど煮て水分をとばす。
  5. 鍋に、(4)人数分とトマトジュース人数分を入れ、味がなじむまで混ぜながら火を通す。